1.人事評価制度に起こっている状況 1-1 評価制度に対する社員の意識の変化 成果主義に関するアンケートを実施すると約80%が前向きな回答を行う状況になり、成果主義的な考え方は従業員の間にも急速に広まっている。しかし実際に成果主義的人事制度の導入が決定すれば多くの敗者が生まれることまでは理解していない。 ポイント a.従業員の意識改革 b.納得感のある制度
1-2 求められる人材像の変化
1-3 評価者に求められる資質の変化
2.現在ポピュラーな人事評価制度 a.職能要件書をベースとした人事評価表 詳細な評価基準の設定には次のような方法がある。一見理想的に見える方法だが、実際には問題が続出してこのとおりにいかないことが多い。 またこの方法は硬直的であり、結果、労多くして益少ないものと言える。 1.能力基準(職能要件書。資料6)の設定方法と運用 1)仕事の洗い出しを行う。 2)仕事(課業)を整理分類して難易度をつける。 3)職務別に課業を難易度順に並べ替える。 4)その課業を行うのに必要な知識技能を書き出す。 5)どこかへ線を引いて「能力等級」を設定する。 6)社員の能力を判定して等級にあてはめる。 7)賃金制度をこの能力等級に適合させる。(職能給) 8)毎年社員の能力判定を行い、上位等級への昇格を検討する。 9)この職能要件書を公開し、社員技能育成のためのマニュアルとする。 10)毎年この要件書を見直し、陳腐化しないようにする。 2.詳細な人事考課表の設定方法と運用 1)成果、情意、能力の3分野について等級別職種別に評価項目を設定する。 2)評価内容の誤解を避けるため、評価項目毎に説明文を作成する。 3)普通とか優れるとかいう評価段階にも項目毎に説明文を作成する。 4)評定者の視点や価値観を揃えるため、これで考課者訓練を行う。 5)点数化の調整(ウェイトづけなど)と金額換算の設定を行う。 6)この人事考課表を公開し、自己申告制も採り入れる。 7)毎年内容の見直しを行い、陳腐化しないようにする。 メリット 1)仕事の基本的な価値観を提示することができる。 2)原則として同じ基準で評価されるため、一種の横並び的な公平感はある。 3)分析評価のため、いろいろな切り口から見ることができる。 デメリット 1)文字で既定された表現には限界があるため、評価項目の記述に対する不満足感が拭えない。 2)基準設定=硬直的になるため、環境変化についていけない。後追いになる。 3)学校の通信簿に一喜一憂する結果論的なしくみになるため、経営の改善、人の改善、動機づけにはなかなかつながらない。評価のための評価に陥り易い。 この方法は企業が人事評価制度を整備する場合、通常は最初のステップとして通る道です。但し、このやり方は「基準を設定する」という宿命上硬直的であり、かつ横並びの権利意識を助長するものになり、徐々に不具合が生じてきます。 企業が「セルフスターター型人材を重視する」新しいステップに踏み出そうとする場合には、この方法はかえって足かせになります。もちろん、まだまだ社員の意識レベルが相当未熟で、トップがほとんど采配を揮わなければならない環境であれば当面は有効ですが、いずれは脱皮をする必要があります。
b.目標管理
3.人事評価制度の目的 人事評価を行う目的は企業によって様々である。一般的によく言われる目的を挙げてみると... □賞与や昇給を決める基礎資料とするため。 □差をつければ社員はヤル気を出すだろうから。 □何をもって賞与や給与を決めているか、の説得材料として。 □評価の結果を説明して教育することで社員の活性化を狙う。 □明確な会社目標に向け、その達成度を高めるために評価を連動させる。 ※目的は様々であるが、人事評価制度を導入する際には、その目的にあった制度を導入すること(この部分については「4.Yes/Noによる人事評価制度の展開」を参照)と納得感のある人事制度を導入する必要がある。 納得感のある人事制度の条件 a.客観的な評価であること b.オープンな評価であること c.評価の内容について事前・事後の話し合いがされていること d.目標達成に関する上司の援助が十分であること
4.Yes/Noによる人事評価制度の展開 Q1:経営者は予算枠と評価の方向性、そして役員及び部長までの評価を決定をしますが、課長クラスまでの人事評価については現場の長に権限を委譲することはできますか? □YES→Q2へ □NO→毎回、社長との個人面談(全員)が必要です。上司の同席も必要です。 ステップ1>社員の意見、反省を聞きます。(人事考課表を参考資料に) ステップ2>社長や上司から前期の反省と評価の結果を伝えます。 ステップ3>次期の期待を話します。 ステップ4>社長と上司の見方が異なる場合は、社長と同じ価値観を持つように上司を指導します。 ※小規模企業でしたらこれがいいでしょう。通常は50名を超えたら、経営者は評価の第一線から下がって任せることが今後の組織育成のために必要です。
Q2:評価の結果を個人にフィードバック(告知と教育)する必要を感じますか?
Q3:評価項目は多岐にわたる詳細な基準が必要と思われますか?
Q4:認定方式、記述方式、加点方式、ポイント方式、を採用したシンプルな評価制度があります。
2.記述方式
3.加点方式 |