賃金表は要らない?

 さて、せっかく作った賃金表がなぜこうも簡単に崩れてしまうのでしょうか。通常、賃金表設計の時は定期昇給パターンや年代間開差及び賃金カーブ、ベースアップ対応を考慮するのですが、このときに一つの型にはまった、いわゆる賃金管理における既製服を着させます。しかしこれが2〜3回の賃上げで脆くも崩れるのです。この原因ははっきりしています。

原因1)「額」先にありきのスタイル
 中小企業の賃上げのスタイルは、大抵は「賃上げ額先にありき」なのです。つまり「誰々はいくら上げたい」というのが先にくるのです。当然賃金表はこの賃上げした後の金額を逆算して張り付けるだけの表になります。

原因2)結局、定昇とベースアップ(ベア)の区別はつかない
 賃金管理上は一般的には定昇とベアは分けて考えますが、やはり「賃上げ額先にありき」ですから、この中に定昇もベアもぶっ込み、ということです。結局、ベアという概念は無意味となり、定昇をベースで設計した賃金表はみごとに崩れます。

原因3)中途採用者の賃金は決定は出たとこ勝負
 中途採用者の給与の決め方は、どういう制度があろうと結局は採用時のやりとりで決まるのです。ゆえに賃金表は「後追い」となり、崩れる原因となります。

 しかし問題は「崩れてはいけないのか」ということです。我々は長年コンサルティングをやっていて「崩れることこそ自然」と思うのです。逆に言えば、中小企業の賃金管理をするために型にはまった賃金表は不要ではないか、ということです。では、賃金表を使って賃金管理をする理由はいったい何か。これをおさえておけば賃金表は使わなくても済むかもしれません。


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