第1章 人事のキーワードは「時価」 |
1)わが国の報酬制度はすべて「積み上げ賃金」 ・経営環境の変化により原資の増加は望めない ・限られた賃金原資をどのように活用するか 2)「処遇=時価」の時代が到来 〜時間軸(年齢や勤続)の概念が薄れてきた ・競争力の源泉であるコア人材をいかに確保するか ・人材派遣の自由化とインターネットの普及が報酬制度に与えるインパクト ・雇用流動化時代の報酬戦略は「Pay for Performance」 3)米国型賃金体系に対する誤解〜世界同時発の変革期 アメリカ Job → Skill → Performance ← 能力(職能給) ← 年齢・勤続 日本 4)全員一律に賃金が上がる時代は終わった〜上がる人と止まる人は明確になってくる 5)「昇給」の意義はどうなるか〜「累積から時価へシフト」についていけるか 6)賃上げの再考〜「給料が上がる」というのはどういうことか ・定期昇給がない会社なんて… ・世間相場への対応?帰属意識?活性化?会社の義務? ・これからは「昇給=時価の向上」になる ・「時価の評価」が課題に〜どれだけの貢献をしているか ・「賃上げ」もあれば「賃下げ」もあるしくみが雇用を守る
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第2章 人事評価の考え方 |
人事評価の原点 1)評価制度のめざすところ 2)人事評価を行う度に何かが変わらなければならない 今までの常識の限界 1)公平性のための詳細な基準づくりの限界 人事制度、特に根幹となる人事評価制度を構築する場合によく陥る勘違いがあります。それは、「評価制度構築=詳細な基準づくり」と思い込むことです。 @「社員を活性化したい」 →A「そのためには評価をしなければならない」 →B「評価は公正にしなければならない」 →C「そのためには明確な基準が必要だ」 →Dそのためにはモノサシとして、詳細な評価要素や能力基準を設定する必要がある!…?」 このCまではいいのですが、ここから大抵の場合Dへ短絡的に行ってしまいます。というよりもこれが常識かもしれません。何を見ても何を聞いても、おしなべて同じことを言ってます。ゆえに"これしかない"と信じて、一般的な職能要件書や人事評価表を作成するプロジェクトが始まります。本来は前述のCの次に、では我が社ではどのような評価制度を導入したらよいのだろうか、というステップがなければいけないのですが、他にも選択肢があることに気づかないため、どうしてもみんながやっているDの「詳細な基準」を作る方法を採ることになります。確かに詳細な評価基準を作ることは悪いことではありませんが、これを納得できる制度として採用するには次のような条件があるのです。 【適用職務の条件】 ・処理手順やゴールがほぼ決まっている定型的な仕事であること。 ・能力の差異や仕事の難易度を明確に数値や文字で表現できること。 ・兼務や職務分担の偏りがなく、同じ仕事をしている人が多いこと。 逆にこれら条件にあてはまらない職務で詳細な評価基準を作ることは困難を極めることになります。しかしながら、この条件にあてはまらなくても次のような特別の意図がある場合は、不十分なことには目をつむって一時的に詳細な評価基準を設定する意義があるかもしれません。 ・とりあえず、社員の優劣の差をつける説明材料が欲しい場合。 ・会社の意向や行動基準を明示し、それに反する者を排除したい場合。 ・「社員は会社の言うとおりに動くのが使命」という企業風土の場合。
2)文字による基準づくりの限界
3)詳細な評価基準と人事考課者訓練の限界
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第3章 人事評価制度改定にあたっての留意点 |
1)「何を評価すべきか?」という進め方の罠 ・誰一人として該当者のいない「課長」の要件書 ・集団管理か個別管理か ・常識的なコンサルタントが指導すると… 2)「紙は要らんぞ!」〜現場の長の一言 ・熱心に作れば作るほど紙が増える ・文字には限界がある 3)絶対評価は幻想 ・「絶対」の意味 ・相対評価をうまく活かすことがコツ ・絶対値があれば確実に使う
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第4章 人事評価制度の2つのアプローチ |
人が人を評価するアプローチ 1)人事評価は「人の計測」ではなく、「改善活動」でなくてはならない 2)従来型の人事評価はうまくいっているのか?〜これで会社が良くなったか 3)「能力基準」は基準にならない〜中小企業では使えない理由 4)「価値観のぶつかり合い」を目指す〜これでしか納得性は得られない 5)「会社の価値観を明確にすること」に本当の価値を見い出す 6)「もう決めているんでしょう?」〜全く逆からのアプローチ 7)シンプルではあるが厳しい「認定方式」〜上司の存在価値が問われる 8)「なぜ彼はそこなのか」、「なぜそう感じるのか」を追求する〜認定方式の考え方 9)「証拠を出す工夫」が人材を活性化する〜みんなを説得できる材料を出す 10)気の利いた上司は何を始めるか〜自然発生的な「目標による管理」 11)「ガイドライン」の設定〜ハイパフォーマーの行動様式 12)認定方式に合う評価方法〜加点評価の考え方 13)評価品質維持のために〜多面評価、上位者公表、事後サーベイ、復活折衝 14)「役割等級制度」による枠組み〜ポジションの職務価値=賃金 15)注目の「コンピテンシー」とは ・優秀な社員はどのような行動様式を持っているかの分析 ・潜在能力を問う職能資格制度から行動・結果を通じた発揮能力への視点の変化 ・爪の垢をせんじて飲む ・いかにそれに近づいたかを尺度化して評価する ・みんながそれを倣えば業績は上がる 16)中小企業でコンピテンシーを導入するには ・やはり「ガイドライン」としての使い方になる ・業績優秀者のヒアリングと制度への落とし込み ・「傾向」や「どれだけ近づいたか」で見る
仕組みで評価するアプローチ |