第1章 近年の人事諸制度の流れ
1-1 「時価」を問う人事制度へ〜含み損社員を生まないために〜
1)年功序列に陥った能力主義
・「人」を見て処遇した時代とその背景
・能力等級制度と昇格基準の問題
2)積み上げ賃金がもたらした結果
・「給与>職務の価値」という社員の存在が労使にとって最も不幸
・給与を合理的に下げられないものか…
・「人の能力」から「職務価値」への模索
1-2 評価のスパンによって異なる報酬の性格
・給 与=中期的視点=時価の反映とその累積(安定性)
・賞 与=短期的視点=その都度ご破算の成果配分(刺激性)
・退職金=長期的視点=残された社員が見るものは…(帰属性)
1-3 各報酬制度設計の基本
a)給与制度
・給与制度の基本は上限と下限を定めること
・昇給は自由でいい。止まる人と上がる人の区分を明確に
・時価賃金は「責任等級制」を考える
〜認定方式による責任等級制度の導入〜
b)賞与制度
・賞与の本質は「業績配分」
・少なくとも基本給非連動型に(ポイント制賞与制度)
c)退職金
・当社の基本的な人材戦略はどうか
・少なくとも基本給非連動型に
1-4 人事評価は「認定方式」
1)人事評価の原点
a)人事評価制度のめざすところ
・目的はただ一つ
・大前提=価値のある人材や成果には高い給料を払う?
・納得性の本質はどこにあるか
・基準≠納得性〜実は基準になってない人事評価表や能力基準書
・人を計測して僅差をつけることで何が面白いのか
・社長満足度や上司満足度に陥る人事評価
b)人事評価を行う度に何かが変わらなければならない
・人事評価は経営改善活動である
・「何かを変える」ための人事評価とするには
・「主観」から「客観」の評価へ〜行動の事実を見る
2)認定方式の評価〜最もベーシックな評価制度
a)認定方式の視点
・すでに順番や意思は決まっている
・なぜあなたは、彼(彼女)をそう認定したのか?を説得できるか
・客観的な説得材料を出せるか〜リソースの提供が会社の役目
・「お互いに説得できる理由づけ」が評価の質を向上させる
・「客観的な評価」とは、「基準」に照らし合わせることではない
・それでもガイドラインは必要〜ハイパフォーマーの行動と結果を探る
・モメることは大歓迎〜認定活動は上司と部下の考え方のぶつかり合い
・対等の姿勢が重要〜素直な姿勢、聴く力、論理的思考力
・評価の品質維持は全社公表と事後サーベイで
b)期間業績は、記述式による加点評価で
・明確な役割や責任を提示できないことが圧倒的に多い
・認定材料としての事実の記述
・達成すべきゴールが明確で納得性が高い場合は±評価も使える
第2章 成果主義を実現するポイント制賞与制度
2-1 年功序列型賞与制度を脱却するためには
・中期的視点の給与に業績配分である賞与を連動させるのはおかしい
・賞与本来の性格は「成果配分」
・賞与原資を配分するルールを決める方法(ポイント制賞与制度)
・ポイント制賞与制度の流れ
a)賞与原資を確定する
b)ポイント配分表を設計する
1.能力ポイント
2.役割ポイント
3.勤続ポイント
c)従業員全員の人事評価を実施する
d)従業員全員のポイントを計算する
e)賞与原資を従業員全員合計ポイントで割り、ポイント単価を計算する
f)各人のポイントに単価を掛け戻し、賞与額を計算する
2-2 役職者には半期年俸制も有効
・責任等級に応じて半期で年俸を設定する
・その20%を控除して賞与原資へ
ex)半期年俸600万円の場合
半期年俸の80% 6で割って毎月支給(80万)
半期年俸の20% 賞与原資とし、評価に応じた額を支給する
第3章 業績管理と業績評価制度の設計
3-1 能力主義以前のベースとしての業績評価
・人が人を評価する隘路
・しくみで評価するアプローチ
3-2 業績管理と評価
1)デジタル(数値)評価はできないものか…
・数値化すべきものと数値化できないもの
・デジタル化できる職種とできない職種
・下手な数値評価は不満を増大させる
・経済誘導としての数値評価
・結果数値と総合評価との関係
・数値化の着視点とシミュレーション
2)部門別損益で業績管理をする
・経営スタイルとしての業績管理体制〜責任と権限の付与
・業績責任単位〜事業部制、チーム制など
・業績管理内容〜コントロール可能なものに限る
・ロイヤリティの設定
・業績検討と将来予測(シミュレーション)
・成果利益と配分方法
3)業績管理を成功させるポイント
・リアルタイムで数値の推移(プロセス)を見せること
・自分で将来のシミュレーションができること
・早いスパンで成果配分をすること
・理解しやすい簡単な仕組みであること
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