中堅・中小企業のための確定拠出型年金制度
99年1月28日実施のセミナーレジュメ
Updated on 2/2/99

企業側の年金、退職金問題
1. 社会保険料(法定福利費)の増加
・現在、公的年金保険料は17.35%を労使が折半
  年金給付抑制が行わなければ、2025年には34%に
  年金給付抑制が行われても、 2025年には24%に
・現在、健康保険料は8.5%を労使が折半
  医療保険制度が見直されなければ、2025年には25%に

2. 固定費削減の一環としての人件費の見直し
 「月給+ボーナス+退職給付(一時金+年金)」から
 「年俸制」、「退職給付前払制」へ
   →22歳で入社して60歳で退職 退職一時金1,400万円
     利息   0%なら毎月給与に約3.0万円の上乗せ
        3.5%        1.5万円
        5.0%        1.0万円

3.会計制度改革、税制改革による問題
 2001年3月期からの年金債務、退職金債務の時価評価開示による起業価値の低下
   (株価・格付け)
    退職給与引当金の課税強化

4.予定利率低下による企業の掛金負担の増加
    生命保険の団体年金  2.5% → 1.5〜2.5%(各社異なる)
    中退金        4.5% → 3.0%
    小規模企業共済    4.0% → 2.5%
    保険医年金      2.5% → 1.5%

従業員側の年金、退職金問題
1.国の年金期待薄
2.企業年金、退職金の不透明
3.自助努力による蓄えの必要性
   自分自身の老後は、国や勤務先の「おぜん立て」だけに頼り切っている姿勢は
  危険だと気づきはじめている。

米国での普及の要因
・従業員にとっては、年金の通算性がある(携帯年金)。転職しても退職金や企業年金の扱いに不利益が生じない。
・税制上の優遇措置を受けられる。
・企業にとっては、確定給付型に比べてコストが小さい。

米国での仕組みと現状
・内国歳入法401K条項に基づく確定拠出型年金制度
・従業員は税引き前の給与の一定比率を毎月、401K専用口座に振込む。
・従業員は勤務先企業が決めた複数の金融商品から自由に運用対象を選択
・従業員への投資教育、運用先の管理、変更等は代行業者が
・大企業では確定給付と確定拠出の両方が併存
・ 中小、ベンチャーや転職の多い企業は確定拠出型が中心

導入に際してのポイント
・退職金制度、企業年金制度の見直しと合わせた検討
・金融機関の選択
  長期的営業姿勢で、顧客本位の販売体制

導入に際しての最大の問題
・従業員がリスクを負担する
  →自己責任意識の醸成
・拠出はあくまでも任意、拠出をしない従業員は退職時までに十分な資産を積み立てられない恐れ
・転退職時に一時給付を受けた場合、消費してしまう恐れ
・給付額が不明なため、ライフプランを立てづらい
  →ライフプラン教育の充実
・従業員が不適切な金融商品を選択する恐れ
  →投資関連情報の開示

制度が活きるか死ぬかは税制次第
・利子、分配金等には非課税措置を
  マル優、年金財形、住宅財形のように
  米国は59.5才に達するか、退職しない場合の引き出しには懲罰的課税
・所得控除の適用を
  社会保険料、生命保険料、個人年金保険料、国民年金基金掛金のように
  米国は年間1万ドルが上限
・取崩時には公的年金控除の対象に

財形年金貯蓄との違い
・財形は税制による恩典が小さい
  特に低金利時代では利子所得の非課税措置のメリットが少ない
・財形はあくまで「貯蓄」、投資理論が入り込む余地はない

名南経営の401Kコンサルティング
・退職金制度、企業年金制度コンサルティング
・投資対象商品の提供及び情報の提供
・従業員のライフプラン教育、投資教育

講師
株式会社 名南経営  資産運用・FP事業部
 ファイナンシャルプランナー 杉浦恵祐