4.身元保証と損害賠償

【身元保証書とは】
 通常、従業員の採用の際には、別に掲載した文例のとおりの「身元保
証書」を提出してもらうことがあります。この「身元保証書」の性質に
は、入社する従業員が従業員としての適性を有することを保証する精神
的な側面と、従業員が事業所に対し損害を発生させた場合にはその損害
を補填するという金銭的な側面とがあります。この両側面を考えた場合
「身元保証書」を提出してもらうことはまだ知れない新規採用者に対し
て有効な手段と言えます。
 
【身元保証書の保証期間】
 身元保証期間は無期限ではなく、期限の定めのない契約の場合は3年
間、期限を定める場合でも5年間が有効期限です。この期限を超えた場
合、その終了時に再度、契約更新をすることが必要です。
 
【保証人には誰を】
 特に定めはなく、一般的には家族または親類になってもらっているよ
うです。別生計あるいは別世帯の者と限定することも問題はありません
し、2名以上と人数に条件をつけることについても問題はありません。
但し、あまりにも条件をつけると、本人の事情によっては保証契約をと
ることが困難になる場合がありますので、事業主としてはある程度は考
慮する必要があります。
 
【身元保証人の損害賠償責任について】
 保証責任についてどこまで効力があるかという問題ですが、全額はま
ず無理と考えてよいと思います。従業員を監督しているのは身元保証人
ではなく事業主ですので、事業主にはその従業員の監督責任があります
し、身元保証人の責任を引き起こすおそれがある場合に事前周知の義務
がついて回ります。裁判例からしても2割ないし3割程度が一般的と言
われています。

       

mailto:ec82@ecall.co.jp石井拓