5.経歴詐称と履歴書

 ときどき採用後のトラブルとして「経歴詐称(さしょう)」事件が起
こります。つまり、やってもいない職歴や架空の学歴を書いて採用や条
件を有利に運ぼうとするものです。後にこの経歴が詐称であると判明し、
詐称がなければ採用しなかった、と客観的に判断される場合は解雇の正
当な理由となります。
 裁判所が認めている「経歴詐称」は具体的には以下の点がポイントと
なります。
 ・従業員が会社を騙したという不正行為があったことで、会社と従業
  員との間の信頼関係が破壊された。
 ・中途採用者は職歴などを重大要素としているのに、その秩序を経歴
  詐称により乱された。
 
 このため、経歴詐称を事由とする懲戒解雇の際には、就業規則への懲
戒規程の記載を前提として、採用段階での学歴・職歴・犯罪歴の質問の
有無及び、質問に対する本人よりの申告の有無が結果としては重要とい
えます。他方、経歴詐称したまま採用した従業員が大過なく数年間にわ
たり勤務したような場合については、会社への責任を問われる場合があ
るため注意が必要です。
 
 このトラブルを事前に防止する為に、履歴書は以下の点に注意して書い
てもらうようにしてください。
1.学歴
 少なくとも高校以降の経歴は必要です。大学であれば専攻学科、高
校であれば科(普通科など)は細かく書いてもらってください。
 また、入学及び卒業年度も明確に書いてもらうことが必要です。
2.職歴
 今まで勤務してきた会社の会社名だけでなく、具体的にどの様な業
務をどの位の期間行なってきたかを明記してもらうようにしてくださ
い。
3.写真
 写真は履歴書のルールですので、必ず貼付してもらってください。

       

mailto:ec80@ecall.co.jp小山邦彦