【労災保険特別加入】海外派遣者の特別加入届出が簡素化される見込みです

 社員が業務中にケガなどをした場合には、日本国内であれば、労働者災害補償保険(以下、「労災保険」という)の適用があり、そこから給付を受けることができます。ところが、海外の現地法人へ出向している社員が海外現地で業務中にケガなどをした場合には、日本法の適用が及ばず、それに伴って日本の労災保険の適用もなく、給付がありません。

 そこで労災保険では、このような海外赴任者についても保険の適用をすべく、海外赴任者であっても、特別に労災保険に加入し、その適用を受けることができる制度を設けています(海外派遣者の特別加入制度)。

 この海外派遣者の特別加入手続きをするに当たっては、保険の適用対象となる期間を申告しなければならず、申請書に「派遣予定期間」を記載することになっており、また、この「派遣予定期間」に変更があった場合には、その都度、変更届を提出して、保険適用の対象期間を変更することが必要とされているのが現行の取扱いです。実態として、「派遣予定期間」の変更は頻繁に行なわれることであるため、この変更手続きは非常に煩雑なものとなってしまっています。

 そこで今回、その煩雑さを解消する目的で、申請書及び変更届に「派遣予定期間」の記載を要しないこととし、変更の届出も不要とすることで手続きの簡素化を図る検討が進められています。この手続きの簡素化については、現在、厚生労働省労働基準局 労災補償部労災管理課がパブリックコメントを募集中であり、来月には正式決定がされる見込みです。実務担当者としては、手間が省ける嬉しい動きですので、今後の動向に期待をしたいところです。(佐藤和之)

<参考リンク>
「(労働者災害補償保険法の施行に関する事務に使用する文書の様式を定める件の一部を改正する件(案)に関する意見公募について」
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495130052&Mode=0

当ブログの記事の無断転載を固く禁じます。