中国の労務監査

 今年1月から、某日系ケミカル企業の統括会社(中国の親会社)で、労務監査のコンサル業務がスタートしました。その企業は組織規模が大きくて、日系企業にはめずらしく中国現地に「監査部」まで設けていて、日本本社の監査部から出向者が赴任しています。

 リクエストはまず「中国特有の監査項目」を作ること。

 そしてその監査項目の背景となる法的根拠、発生リスク根拠をまとめた「監査ハンドブック」を作ることです。その監査項目リストとハンドブックを持って、今年の7月から中国国内23か所のグループ会社の監査を、監査部が随時、実施していくことになります。

 昨日、第二回目のMTG。

 事前にこちらから提出した監査項目に、先方の日本本社の監査項目を加え、ひとつひとつ潰していく作業。それを監査部と人事部の責任者・スタッフと行っていくわけです。監査項目の中に「セクハラ」「パワハラ」の状況チェックがありました。中方のスタッフとともに、「うーん、中国ではまだ、どちらも認知されていないよね」と意見が一致。その会社の台湾法人では以前、パワハラが問題になったので入れているとか。

 「どうしましょうか。とりあえず入れておきますか?」
 「そうですねえ。でも、セクハラ・パワハラの監査基準が曖昧ですしねえ」
 「それは日本でもそうですし、やられた本人がそう思ったら成立するし」
 と、喧々諤々の議論。結局、当面は外しておくことにしました。

 まあ、これだけ成長の早い中国ですから、あと何年か経ったらセクハラやパワハラも社会的に認知される時が来るのでしょうね。それとこの「中国現地法人の労務監査」って、結構、企業ニーズには届くなあ、と実感。労務監査の着眼と、その背景となる根拠をセットで、日本でもセミナーを開催したいと思っています。(清原学)

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