落とし穴が多い!海外赴任者の労災保険特別加入手続(3)

 前回までに加入・脱退時の手続の注意点をお話してきましたが、今回はそれ以外に変更の届出が必要なケースについて紹介を行います。

 加入・脱退時以外にも、特別加入をしている者について、状況の変化があれば、その都度、「特別加入に関する変更届」を労働局へ届出することが必要であるとされています。変更の届出を要するケースとしては、以下のようなものがあります。

<変更の届出を要する事由>
(1)新たに海外派遣する方を特別加入(追加申請)させるとき。
(2)派遣先における身分(地位)または業務の内容を変更したとき。
(3)派遣先の事業場を変更したとき。
(4)派遣先における住所を変更したとき。
(5)婚姻等により派遣者の氏名が変わったとき。
(6)帰国するなど派遣先の事業に従事しなくなり、特別加入者の資格を失ったとき。
(7)退職等により派遣元事業の労働者でなくなり、特別加入者の資格を失ったとき。
(8)労働者として派遣されていた方が、中小事業と認められる労働者規模を超える派遣先事業の代表者または業務執行役員に就任し、特別加入者の資格を失ったとき。
(9)中小事業主または業務執行役員として派遣されていた方の派遣先事業が中小事業と認められる労働者規模を超えることとなり、特別加入者の資格を失ったとき。
(10)その他特別加入者に関する事項(承認事項)に変更があったとき。
 出典:愛知労働局総務部 労働保険適用・事務組合課「平成26年度 第3種特別加入申請等事務処理手引き(海外派遣者用)」

 つまり、最初に届出した内容と変更が生じる場合には、変更届を届出しなければならないということです。これに関しては、国内の場合は基本的には労災の適用があるということに対して、海外の場合は原則として労災の適用が無いところを特別に適用しているという趣旨が垣間見られます。この届出を怠ることで、労働局が把握している海外赴任の申請内容と実態に乖離が生じているという状況下で事故が起こった場合には、最悪の場合、労働局の把握の対象外であるとして、補償の対象とならない可能性があります。赴任国が変わったなど、状況変化があれば、漏れなく変更の手続を行っておきましょう。
 なお、「派遣予定期間」の変更については、2013年11月30日から変更届の様式変更に伴い、変更があった場合でも届出は不要となっています。(佐藤和之)

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