パスポートの国際標準見直しにより注意が必要な「訂正旅券」(1)

パスポートの国際標準変更により懸念される「訂正旅券」の取扱い
 パスポートの取扱いについて、その国際標準を定めている国際民間航空機関(ICAO)が2015年11月25日以降、新しい国際標準を採用します。これに伴い、懸念されているのが、パスポートの中でも「訂正旅券」と呼ばれるパスポートの取扱いです。今回はまず、この「訂正旅券」とは何かを解説したいと思います。

「訂正旅券」と「記載事項変更旅券」との違い
 結婚や引越しなどにより、パスポートの身分事項(氏名や住所等)に変更があったときは、その変更手続を行わなければなりません。現在は、変更の申請時に使用中のパスポートを返納し、その返納したパスポートと有効期間満了日が同一となるパスポートが新しく発行される「記載事項変更旅券」と呼ばれる方式が採用されており、訂正された内容は、新しいパスポートの顔写真のページやICチップにも反映がされ、パスポートの所持人自署も変更後の氏名での署名に、また、顔写真も新しいものに変えることができます。

 この「記載事項変更旅券」の方式が導入された2014年3月20日より前は、「記載事項の訂正」という制度があり、その制度を利用して記載内容の訂正がされたパスポートが「訂正旅券」です。変更事項が氏名や本籍の都道府県名である場合には、「記載事項の訂正」の制度を利用すれば、新しいパスポートを発行することなく、既存のパスポートの追記ページに訂正内容をスタンプとタイプ印字するだけの簡易の訂正で済ますことが認められており、比較的安価な手数料で変更ができました。

 次回は、「訂正旅券」を所持している場合に受ける影響と対策について解説します。(佐藤和之)  (つづく)

<参考リンク>
外務省「平成26年3月20日以降,「記載事項の訂正」が廃止され 新方式のパスポートの発給が開始されます」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/page3_000097.html

外務省「旅券法の一部改正 Q&A」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/page3_000098.html

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