試用期間終了時点で本採用を拒否することはできるのでしょうか?
A 試用期間における本採用拒否は、通常の解雇より広い範囲における事由が認められるが、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められるものでなければならない
1.試用期間とは
会社は社員を採用する場合、筆記試験や面接等を行っていく中で自社の社員として適格性があるか否かを判断します。しかし、採用選考過程で得られる情報には限界があるため、採用選考だけで適格性を判断することはとても困難なことです。よって、使用者は試みの期間として入社3~6か月程度の期間を試用期間として設け、その間の業務遂行状況によって本採用をするか否かを判断することがあります。
2.試用期間中の労働契約の効力
試用期間中でもすでに労働契約の効力は発生しているため、試用期間終了後に本採用を拒否するということは解雇に該当します。試用期間については解約権留保付労働契約という性質があるため、試用期間中の解雇は通常の解雇よりも広い範囲で認められるものとなっていますが、自由に解雇できるということではありませんので、客観的で合理的な理由が存在し、社会通念上相当と認められる状況が求められます。
3.試用期間の運用
試用期間をめぐるトラブルを未然に防止するためにはあらかじめ就業規則や労働契約を締結する場合に試用期間があること、能率又は勤務態度が著しく不良で不適格と判断した場合には本採用しないことがあること、労働者が従事する職務と期待する業績等をできるだけ具体的に記載しておくことが求められます。
(渡たかせ)