私傷病休職中や休業期間中に年次有給休暇は取得できるのでしょうか?
A 私傷病休職や産前産後休業、育児休業期間については、そもそも労働義務がないため、年次有給休暇(以下、「年休」という)を請求できません。ただし、産前産後休業と育児休業に関しては、産後6週間を除いて、当該休業の申出前に年休を請求していれば、その取得が優先されます。
1.休職期間中の年次有給休暇について
労働基準法第39条で規定される年休は、「賃金の減収を伴うことなく、労働日において労働義務の免除を享受すること」であり、当該日が労働日であることが前提とされています。よって、傷病などにより、労働日に欠勤するような場合には年休を取得することができます。しかしながら、休職命令が行われ、休職期間に入ると労働義務が免除されることとなることから、休職期間中に年次有給休暇の取得をすることができません(昭和24年12月28日基発第1456号)。
2.産前産後休業期間の年次有給休暇
労働基準法では、産前産後休業について、以下の期間は休業をさせなければならないとされています。
(1)労働者本人の請求があった場合は産前の6週間
(2)産後の8週間(産後6週間を経過した当該従業員が働くことを希望・申請した場合、医師が「該当従業員を就業させても問題ない」と認めた業務に限り、就業が認められる)
この産前産後休業期間については私傷病休職と同様に、労働義務が免除されるため、年次有給休暇の取得はできません。但し、産前休業は、労働者の請求により休業が実施されるため、産前休業の請求がなされる前に年次有給休暇の請求をした場合にはそれが認められることとなります。
3.育児休業期間と年次有給休暇
育児休業についても、私傷病休職・産前産後休業と同様に、労働義務が免除されるため、年次有給休暇を取得することはできません。なお、産後休業後に引き続いて育児休業を開始せず、産後休業終了後に年次有給休暇を取得してから、育児休業を開始しようとする場合は、育児休業の請求前に年次有給休暇を請求していれば、当該日は、当然労働義務が発生するため、年次有給休暇の請求は認められます。
(野村悠太)