離職票の1ヶ月のカウントに労働時間が80時間以上の月も含まれます
大熊が服部印刷に向かうと、福島さんが離職票を持って待っていた。
大熊社労士
おはようございます。
福島さん
おはようございます。今日は離職票の書き方に変更があったというリーフレットを見たので、内容を確認したいと思い、お待ちしていました。
大熊社労士
8月からの、特にパートさんに影響のある変更ですね。
福島さん
はい。うちの会社には1週間にちょうど20時間働くパートさんがいます。1日5時間、週4日の雇用契約になっています。リーフレットを見ると、これまで離職票には1ヶ月11日以上ある月を12ヶ月書くことになっていましたが、10日以下の月は80時間以上ある月をカウントするのですよね?
大熊社労士
そうですね。離職票では、離職日から1ヶ月ごとに区切っていた期間を書いていきます。自己都合で退職したときには、離職をした日以前の2年間に、出勤した日や年次有給休暇を取得した日等、賃金支払の基礎となる日数が11日以上ある月が通算して12ヶ月以上必要になります。
宮田部長
あれですよね、雇用保険の加入期間が短いと、失業手当はもらえないよ、ってやつ。
大熊社労士
はい、そうです。あとは欠勤が多いような人ももらえないよってやつですね。この被保険者期間に関して、今回、11日以上という部分が変更になりました。具体的には福島さんの説明の通り、賃金支払の基礎となった労働時間数が80時間以上ある月を1ヶ月として計算することになったのです。
宮田部長
へぇ~。でも、週4日働くのであれば、まぁ、月16日くらいは出勤するから、11日は簡単にクリアするのじゃないのかな?
福島さん
ええ、通常の月は問題ないのですが、ゴールデンウイークやお盆休み、年末年始を挟んだときには、出勤日数が少なくなってしまいます。例えば今月の出勤日は12日になっています。
宮田部長
なるほど。確かにパートさんだから家庭の事情に合わせて柔軟に出勤日を調整することもあるから、月によっては10日以下になる月もあるのか。
福島さん
そうなのです。出勤日数を減らした月は、その分、少しだけ残業をすることもあるので、条件が重なると「10日以下、80時間以上」という月もあるかもしれないと思っています。
大熊社労士
確かにケースとしてはありそうですね。
福島さん
そこで、お聞きしたかったことなのですが、離職をした日以前の2年間に、賃金支払の基礎となる日数が11日以上ある月が12ヶ月以上あったとしても、労働時間を確認する必要があるのでしょうか。
大熊社労士
なるほど、11日以上ある月のカウントが優先されるのか、10日以下80時間以上の月のカウントが優先されるのかということですね。これについては、厚生労働省の「雇用保険事務手続きの手引き」が参考になるのですが、11日以上の完全月が12ヶ月以上ない場合に、賃金支払の基礎となった時間数を備考欄に記入すると指示しています。
福島さん
ということは、まずは日数でカウントすればいいということですね。
大熊社労士
はい、そうですね。そもそもは勤務日数が少ない人でも適切に雇用保険の給付を受けられるように、労働時間も見ることが補完的に設定されたものですので、まずは原則で考えることになりますね。
宮田部長
確かに雇用保険に加入してきたけど、ぎりぎりで失業手当をもらえなかった!なんてことがあると、かわいそうですよね。
大熊社労士
御社では、該当される方は少ないと思いますが、このような制度があることは、今まで通り押さえておいてくださいね。
福島さん
はい!ありがとうございました。
>>to be continued
[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
おはようございます。大熊です。この被保険者期間のカウントは、離職票のみならず、育児休業給付を始めとした雇用継続給付の被保険者期間のカウントにも適用されます。特に女性が産前産後休業に引き続き、育児休業を取得するときは、産前産後休業中に体調不良で欠勤して賃金支払の基礎となる日数が少なくなることもあるため、誤りのないようにしましょう。
参考リンク
厚生労働省「雇用保険事務手続きの手引き」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000131698.html
(宮武貴美)