試用期間で人材の見極めができなかった場合に延長はできますか?
病床利用率の問題はあるものの、新型コロナの新規感染者数が減少していることで、少し安心している大熊であった。
大熊社労士
おはようございます。
服部社長
大熊さん、おはようございます。まだまだ寒い日が続きますね。
大熊社労士
そうですね。早く桜が咲くような気候になって欲しいものですね。今年もお花見はまだまだ難しいかも知れませんが。
宮田部長
お花見、行きたいですね。昨年も新型コロナの影響でお花見には行けませんでしたが、やはり桜の下で昼間からお酒を飲むっていうのは日本人の最高の贅沢ですからね。
福島さん
でも、お花見の後半はいつもイビキをかいて寝ていらっしゃるじゃないですか。桜なんて絶対見てないですよね。
宮田部長
あらら、痛いところを突くね。まあそれも平和な日本ってことでいいじゃないの。
大熊社労士
そうですね。今年は無理でも、来年はお花見に行きたいものですね。さて、今日はご相談があるということで事前にお伺いしていますが。
服部社長
そうなのです。実は昨年12月1日に採用した中途入社の社員なのですが、2月末で試用期間が満了となります。しかし、今年は新型コロナの影響で、休業があったことに加え、濃厚接触者の認定をされたために、お休みも多く、十分に適性を見ることができていないのです。いま現場にはいろいろな仕事を経験させ、社員としてやっていけるかの適性を判断するように指示しているのですが、このような場合、試用期間を延長することはできるのでしょうか?
大熊社労士
なるほど。現在の御社の就業規則には試用期間を延長する旨の記載はありましたでしょうか?
福島さん
確認しますね。え~っと、ありました、ありました。試用期間中にその適性を判断することができず、必要と認めたときは、3か月を限度として延長することがあると規定されてきます。
大熊社労士
そうですか。となると、規定としての根拠はありますね。今回は新型コロナの影響で出勤日数が想定外に少なくなってしまったという事情もありますので、試用期間を延長するのであれば、早めに本人に伝え、同意を取るようにしてください。そこまで行っておけば大丈夫でしょう。
福島さん
ありがとうございます。他になにか注意点はありますか?
大熊社労士
そうですね。延長によって、試用期間が長期間になると問題になることがあるでしょう。過去の裁判例でも、試用期間中の労働者は不安定な地位に置かれることから、合理的範囲を越えた長期の試用期間の定めは公序良俗に反し、無効であるとの判断も見られます。ただ、御社では当初の試用期間3か月+延長しても3か月以内ということですので問題はないでしょう。
服部社長
ありがとうございます。試用期間を延長するとなると本人も不安になると思いますので、できれば延長なしで判断できるようにしたいとは思っています。それにしても試用期間の延長は簡単ではないのですね。勉強になりました。
>>>to be continued
[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
こんにちは、大熊です。今回は試用期間の延長について取り上げました。試用期間は、企業の人事労務担当者からすれば、よほどのことがない限り、試用期間での本採用拒否はないと考えていると思いますが、本人は不安に感じていることが少なくありません。延長となると、更に不安が増すことになると思いますので、できるだけ延長はしない方がよいでしょう。もっとも、いざというときに延長ができるよう、就業規則の整備は行っておく必要があると考えます。
(大津章敬)