精神障害にかかる労災の支給決定件数 過去最高の608件
新型コロナによる生活環境の激変により、メンタルヘルス不調者が増加しているという話をよく耳にします。確かに日頃の業務の中でも、お客様からのそのような相談が多くなってますので、それは事実なのでしょう。その対策が求められますが、職場での精神障害という話になると、労災申請という問題に繋がることが少なくありません。
厚生労働省は昨日(2021年6月23日)に、令和2年度の「過労死等の労災補償状況」を公表しました。今回はここから精神障害にかかる労災の請求件数・支給決定件数等について見ていくことにしましょう。
- 請求件数は2,051件で前年度比9件の減。中でも未遂を含む自殺の件数は前年度比47件減の155件と大幅に減少。
- 支給決定件数は608件で前年度比99件の大幅増。
- 業種別では、請求件数は「医療,福祉」488件、「製造業」326件、「卸売業,小売業」282件の順で多く、支給決定件数は「医療,福祉」148件、「製造業」100件、「運輸業,郵便業」と「卸売業,小売業」63件の順に多い。
- 年齢別では、請求件数は「40~49歳」597件、「30~39歳」490件、「20~29歳」448件の順で多く、支給決定件数は「40~49歳」174件、「30~39歳」169件、「20~29歳」132件の順に多い。
- 時間外労働時間別(1か月平均)支給決定件数は「20時間未満」が68件でもっとも多く、次いで「100時間以上~120時間未満」が56件。
- 出来事別の支給決定件数は、「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」99件、「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」83件、「同僚等から、暴行又は(ひどい)いじめ・嫌がらせを受けた」71件の順に多い。
新型コロナによる職場および生活環境の変化は、少なからず労働者の心身に影響を与えています。改めて4つのケアを中心に、早期発見と対処を心がけましょう。
参考リンク
厚生労働省「令和2年度「過労死等の労災補償状況」を公表します」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19299.html
(大津章敬)