新卒者の適職意識の醸成と定着に大きな関係がある指導担当の存在

 近年、新卒採用者の早期離職が多くの企業で問題になっています。本日は、公益社団法人全国求人情報協会が実施した「2021年卒新卒者の入社後追跡調査」の内容から、新卒者の適職意識と離職の関係、そしてそれに対する指導担当の重要性について取り上げたいと思います。

 そもそも新卒者の一定割合は、入社前の時点で転職を意識しています。具体的には、25.8%が入社前の時点で「転職志向」( 「転職することも視野に入れている」 「すぐに転職したいと思っている」 の計)であるという結果が出ています。また、入社後約半年経過時点において、入社前に転職志向であった人の69.4%が、転職志向または既に離職しているという状況になっており、入社前の時点で転職志向がある場合には、かなりの確率で離職に繋がることが分かります。

 今回の調査では、勤続志向と適職意識(自分はこの会社で仕事をするのに向いていそうだと感じる)には相関関係が見出されています。まず入社半年時点での適職意識については以下の結果が出ています。
35.9% 自分はこの会社で仕事をするのに向いていそうだと感じた
26.8% 自分はこの会社で仕事をするのは向いていないと感じた
37.2% まだよくわからない

 この適職意識別に勤続志向・転職志向の割合を見てみることにします。
自分はこの会社で仕事をするのに向いていそうだと感じた
 勤続志向 89.1% 転職志向 10.9%
自分はこの会社で仕事をするのは向いていないと感じた
 勤続志向 18.7% 転職志向 81.3%
まだよくわからない
 勤続志向 64.7% 転職志向 35.5%

 このように適職意識の有無で、その勤続志向・転職志向に大きな差が生まれていることが分かります。その適職志向に大きな影響を与えていると思われるのが指導担当社員の存在です。指導を担当する社員がいる場合の適職意識が39.5%であるのに対し、いない場合には15.8%となんと2.5倍もの差が出ています。また指導担当社員に担当業務のこと以外についても相談している場合には、特に適職意識が高くなっており、新卒者については、指導担当社員をつけ、幅広い相談に対応させることで、適職意識が上昇し、定着が促進されるという結果になっています。

 今春、新入社員を迎えた企業も多いと思われますので、是非参考にしてください。


参考リンク
公益社団法人全国求人情報協会「2021年卒新卒者の入社後追跡調査(2022/3/22)」
https://www.zenkyukyo.or.jp/wp/wp-content/uploads/2022/03/20220323.pdf

(大津章敬)