民事上の個別労働紛争における相談件数「いじめ・嫌がらせ」が今年も最多に
先日、厚生労働省から「令和3年度個別労働紛争解決制度の施行状況」の結果が公表されました。 「個別労働紛争解決制度」は、個々の労働者と事業主との間の労働条件や職場環境などをめぐるトラブルを未然に防止し、迅速に解決を図るための制度で、「総合労働相談」、都道府県労働局長による「助言・指導」、紛争調整委員会による「あっせん」の3つの方法があります。以下では今回の結果のポイントを見ていきましょう。
- 総合労働相談件数、助言・指導の申出件数、あっせんの申請件数は前年度より減少。総合労働相談件数は1,242,579件で、前年度に▲3.7%であるが、14年連続で100万件を超え、高止まり
- 民事上の個別労働紛争における相談件数、助言・指導の申出件数、あっせんの申請件数の全項目で、「いじめ・嫌がらせ」の件数が引き続き最多。中でも、民事上の個別労働紛争の相談件数は、86,034件(前年度比8.6%増)で10年連続最多。
- 民事上の個別労働紛争における相談件数、助言・指導の申出件数、あっせんの申請件数の全項目で、「解雇」の件数が前年度に比べ減少。民事上の個別労働紛争の相談件数は、33,189件で、前年度比▲12.3%の大幅減。
これは毎年お伝えしているところですが、労働トラブルの中心はかつての「解雇」から「いじめ・嫌がらせ」に移ってきています。今春にはパワハラ予防措置の義務化が行われていますが、引き続きハラスメントのない職場づくりを進めていきましょう。
参考リンク
厚生労働省「「令和3年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表します」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/newpage_00108.html
(大津章敬)