非正規雇用で働く女性の33.3%が今後も「非正規雇用志向」と回答
リーマンショック以降、非正規労働者の雇用の安定が大きなテーマとなり、様々な法改正も行われていますが、実際の当事者はどのように考えているのでしょうか?本日は、連合の「非正規雇用で働く女性に関する調査2022」からその意識について見ていきたいと思います。なお、本調査の対象は、全国の非正規雇用(有期契約社員・嘱託社員、臨時・非常勤公務員、派遣社員、パートタイマー、アルバイト)で働く20歳~59歳の女性1,000名となっています。
これによれば、「今後どのような働き方をしたいか」という設問の回答は以下のようになっています。
10.7% 正社員転換して、現在の勤め先で働き続けたい
15.1% 別の勤め先転職して、正社員の職に就きたい
24.2% 非正規雇用のまま、現在の勤め先で働きつづけたい
9.1% 別の勤め先に転職して、非正規雇用の仕事に就きたい
2.9% 起業したい
8.8% できるだけ早く働くことをやめたい。
28.6% 特に希望はなく、成り行きにまかせたい
0.5% その他
このように、「正規雇用志向」の25.8%を、「非正規雇用志向」の33.3%が上回っています。中でも、現在の雇用形態がパートタイマーという方については、39.2%が「非正規雇用志向」の回答をしており、必ずしも多くの非正規従業員が正社員化等を求めている訳ではないことが分かります。
また、「仕事を選ぶ上でのこだわり」という設問については、以下のように「やりがい」や「専門性」よりも、「自分のペースでの仕事」や「収入」が大きな関心事となっています。
77.7% 自分のやり方や自分のペースで仕事がしたい
77.1% 収入を増やしたい
53.9% やりがいのある仕事をしたい
24.2% 仕事の中で専門家として能力を発揮したい
7.0% 職場のチームリーダーとして仕事を切り回したい
このように非正規雇用の労働者は、いわゆる正社員とは少し異なった仕事観を持っています。同一労働同一賃金や社会保険適用拡大など、非正規雇用の周辺分野の仕組みは大きく変わってきていますが、それが当事者のニーズに必ずしも合っているとは言えない状況が起きているようです。自社の非正規雇用対策を進める際には、当事者の意見や考え方をしっかりヒアリングし、施策に活かしていくことが求められます。
参考リンク
連合「非正規雇用で働く女性に関する調査2022(2022/3/31)」
https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20220331.pdf
(大津章敬)