中小企業の74.1%が賃上げを予定も業績改善が伴わないケースが過半数
この春の昇給をどうするかは多くの企業の経営者・人事担当者の大きな悩みとなっています。物価高等を受け、複数の大企業が大幅な賃上げを行うという報道が頻繁なされる一方、中小企業の業績は必ずしもよくありません。そこで今回は大阪商工会議所が実施した「中小企業の2023年の賃上げに関する調査(2023/2/17)」の結果を見てみることとしましょう。なお、この調査は2023年1月31日~2月9日に、同所会員の中小企業を対象に実施されたもので、有効回答数は85社となっています。
これによれば、2023年の賃上げ予定については以下のような回答となっており、74.1%の企業が賃上げ予定もその半分以上は防衛的賃上げという結果になっています。
業績の改善が見られるため、賃上げを実施(前向きな賃上げ) 34.1%
業績が改善しないが、賃上げを実施(防衛的賃上げ) 40.0%
賃上げしたいが見送る 21.2%
もともと賃上げ予定なし 4.7%
一方、賃上げ率については以下のようになっており、()内の1年前の数値と比較すると5%以上が増加しており、昨今の物価高等に対応するための大幅昇給を検討している企業が一定数あることが分かります。
0~1%台 9.4%(11.8%)
2%台 24.7%(27.1%)
3%台 17.6%(14.1%)
4%台 1.2%(3.5%)
5%以上 15.3%(4.7%)
賃上げを実施しない・しなかった 16.5%(22.4%)
従業員の賃上げへの期待が例年になく大きくなっているため、離職防止のためにもそれにどこまで答えるのか。難しい選択となっています。
参考リンク
大阪商工会議所「中小企業の2023年の賃上げに関する調査(2023/2/17)」
https://www.osaka.cci.or.jp/Chousa_Kenkyuu_Iken/press/20230217wage.pdf
(大津章敬)