マイナンバーの利用範囲の拡大等が盛り込まれた改正マイナンバー法案 国会に提出
マイナンバーカードの申請でマイナポイントがもらえるマイナポイント第2弾が2023年2月末まで実施されていました。その結果として、マイナンバーカードの申請件数が増加、2023年2月26日の現在で、人口に対するの申請件数率は72.1%となりました。
また、マイナンバーカードの健康保険証としての利用登録も、登録率63.4%(2023年2月26日の現在)となり、今後、医療機関等での利用が進むことが予想されます。
そのような中、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案」が2023年3月7日閣議決定され、国会に法案提出されました。この法案は改正マイナンバー法案とも言われており、以下のような内容が盛り込まれています。
1.マイナンバーの利用範囲の拡大
・理念として社会保障制度、税制及び災害対策以外の行政事務においてもマイナンバーの利用の推進を図る。
・具体的には、理容師・美容師、小型船舶操縦士及び建築士等の国家資格等、自動車登録、在留資格に係る許可等に関する事務において、マイナンバーの利用を可能とする。
2.マイナンバーの利用及び情報連携に係る規定の見直し
・法律でマイナンバーの利用が認められている事務に準ずる事務(事務の性質が同一であるものに限る)についても、マイナンバーの利用を可能とする。
・法律でマイナンバーの利用が認められている事務について、主務省令に規定することで情報連携を可能とする。
3.マイナンバーカードと健康保険証の一体化
・乳児に交付するマイナンバーカードについて顔写真を不要とする。
・健康保険証を廃止するとともに、マイナンバーカードによりオンライン資格確認を受けることができない状況にある方が、必要な保険診療等を受けられるよう、本人からの求めに応じて「資格確認書」を提供する。
4.マイナンバーカードの普及・利用促進
・在外公館で、国外転出者に対するマイナンバーカードの交付や電子証明書の発行等に関する事務を可能とする。
・市町村から指定された郵便局においても、マイナンバーカードの交付申請の受付等ができるようにする。
・暗証番号の入力等を伴う電子利用者証明を行わずに、利用者の確認をする方法の規定を整備する(例:図書館等での活用)。
5.戸籍等の記載事項への「氏名の振り仮名」の追加
・戸籍、住民票等の記載事項に「氏名の振り仮名」を追加。
・マイナンバーカードの記載事項等に「氏名の振り仮名」を追加。
6.公金受取口座の登録促進(行政機関等経由登録の特例制度の創設)
・既存の給付受給者等(年金受給者を想定)に対して書留郵便等により一定事項を通知した上で同意を得た場合又は一定期間内に回答がなく、同意したものとして取り扱われる場合、内閣総理大臣は当該口座を公金受取口座として登録可能にする。
今後、さらに利便性が高まることになります。会社における事務運営で手続きが変わる部分も出てくると思われるため、法案に注目していきましょう。
参考リンク
デジタル庁「政策データダッシュボード(ベータ版)」
https://www.digital.go.jp/resources/govdashboard/
デジタル庁「デジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律案」
https://www.digital.go.jp/laws/2567b640-d579-488c-a512-57f51e70ed3f/
衆議院「閣法 第211回国会 46 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案」
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1DD81EE.htm
(宮武貴美)