東証プライム企業の70.7%が学卒初任給の引き上げを実施 大卒平均は225,686円

 今週は連日、学卒初任給の大幅引き上げのニュースが新聞紙上などを賑わせました。これにより実際にはどれくらいの企業が初任給の引き上げを行い、またその平均額がどこまで上昇したのか気になるところです。そこで本日は、2023年5月9日に労務行政研究所が公表した「2023年度 新入社員の初任給調査」の結果を見ていきます。なお、この結果は、4月11日までにデータを得られた東証プライム上場企業157社が対象となっています。
(1)初任給の改定状況
 全学歴の初任給を引き上げたという企業が70.7%、一部引き上げが3.2%、全学歴据え置きが26.1%となっています。全学歴引き上げについては前年は41.8%でしたので、28.9ポイントの大幅増となっています。グラフを見ても、その高さが際立ちます。
(2)2023年度決定初任給の水準
 学歴別で見ると以下のようになっています。
□高校卒(事務・技術)一律 183,388円(前年比+6,627円)
□短大卒(事務) 195,227円(前年比+6,570円)
□大学卒(事務・技術)一律 225,686円(前年比+6,825円)
□大学院卒修士 243,953円(前年比+7,483円)

 このように大学卒の初任給の平均は22万円台後半に突入しました。今春は25万円以上など従来ではあまり見られなかった高額の初任給を設定する事例が出ていますので、そうした企業が平均を引き上げているとはいえ、かなりの高水準となっています。これは東証プライム企業の平均ではありますが、学卒初任給については相場の影響を大きく受けますので、来春に向けてこうした結果を受けた初任給引き上げの事例が増加することが予想されます。


参考リンク
労務行政研究所「2023年度 新入社員の初任給調査(2023/5/9)」
https://www.rosei.or.jp/attach/labo/research/pdf/000084904.pdf

(大津章敬)