年収の壁がなくなったら約6割の主婦が「もっと働きたい」と回答

 近年の子育て支援策の充実などにより、我が国の女性労働の問題と指摘されてきたM字カーブはほぼ解消しました。しかし、いわゆる103万円など年収の壁による就業調整を行い、非正規労働を行っている女性は少なくありません。国としてもこの解消を目指しているところですが、実際の既婚女性の意識はどうなっているのでしょうか。そこで今回はマイナビの「主婦のアルバイト調査(2023年)」から、就業調整の状況とそれが撤廃された場合の対応について見ていくことにしましょう。
(1)就業調整の実施状況
 現在アルバイト就業中の方を対象とした就業調整の実施状況についての回答は以下のようになっています。
44.9% 就業調整はしていない
16.6% 就業調整をしている 100万円前後
18.8% 就業調整をしている 103万の壁
8.1% 就業調整をしている 106万の壁
23.0% 就業調整をしている 130万の壁
2.0% 就業調整をしている 150万の壁
1.3% 就業調整をしている 201万の壁
0.4% その他の就業調整をしている 

 先日の社会保険の適用拡大の影響もあり、就業調整はしていないの回答は前年の40.4%から44.9%に増加していますが、依然として過半数が就業調整をしているという実態にあるようです。

(2)年収の壁がなくなったら現在よりもっと働きたいと思うか
 次に就業調整をしていると回答した人を対象に行われた「年収の壁がなくなったら現在よりもっと働きたいと思うか」という質問への回答を見てみましょう。
43.8% 現在の雇用形態でもっと働きたい
14.6% 雇用形態を転換(非正規→正規など)してもっと働きたい
34.5% 現状維持が良い
7.2% 現在より働きたくない

 このように年収の壁がなくなった場合には約6割の方がもっと働きたいと回答しています。政府の方針としては壁を撤廃するのではなく、社会保険の適用拡大を進め、実質的に壁を無効化するという方針のように思われますが、一億総活躍社会の実現、そして各世帯の収入の増加のためには就業調整なく働くことができる環境の実現が求められます。


参考リンク
マイナビ「主婦のアルバイト調査(2023年)」
https://www.mynavi.jp/news/2023/05/post_38676.html

(大津章敬)