過労死等防止対策白書で示された睡眠時間とうつ傾向の強い相関関係
先日、厚生労働省から「令和5年版過労死等防止対策白書」が公表されました。ここでは、労働時間やメンタルヘルス対策等の状況、過労死等の現状、過労死等をめぐる調査・分析結果、過労死等の防止のための対策の実施状況などについて取り上げられ、現在の過労死等に関する実情が多くのデータやその分析などによって明らかにされています。
今回はその中から、睡眠時間とうつ傾向の関係について見ていくこととしましょう。ここでは、理想の睡眠時間と実際の睡眠時間の乖離時間別のうつ傾向・不安について調査されていますが、その乖離が大きくなるにつれて「うつ傾向・不安なし」の者の割合が減少し、「うつ傾向・不安あり」の者、「うつ病・不安障害の疑い」がある者及び「重度のうつ病・不安障害の疑い」がある者を合わせた割合が増加する傾向が見られています。
具体的には、以下の比較をご覧ください。
■理想の睡眠時間以上睡眠がとれている
うつ傾向・不安なし 68.4%
重度のうつ病・不安障害の疑い 6.3%
■理想の睡眠時間より5時間不足
うつ傾向・不安なし 33.3%
重度のうつ病・不安障害の疑い 38.5%
このように睡眠不足と、うつ傾向・不安には明確な関係が見られています。改めて睡眠の重要性が明らかとなっており、今後、勤務間インターバル制度の義務化やウエラブル端末などを活用した睡眠計測などの議論が進むことになりそうです。
みなさんも健康維持のため、睡眠時間の確保を意識的に進めるようにしましょう。
参考リンク
厚生労働省「令和5年版過労死等防止対策白書」
https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/karoushi/23/index.html
(大津章敬)