転職により1割以上賃金が増加した割合が過去最高の35.5%に
仕事柄、人事労務管理に関連する様々な統計調査の結果をチェックしていますが、その中でも毎回楽しみにしているものの一つがリクルートの「転職時の賃金変動状況」調査です。これは「前職と比べ賃金が明確に(1割以上)増加した転職者数の割合」の経年変化を観察しているものですが、その最新結果が公表されました。
今回公表されたのは2023年7-9月期となりますが、「前職と比べ賃金が1割以上増加した転職決定者数の割合」は35.3%となり、過去最高値を更新しています。過去20年間の推移を見ると、2003年には23.0%だったものが、リーマンショックやコロナ危機の時期を除いて右肩上がりで増加しています。中でもコロナ以降の上昇率は大きく、同じ7~9月で比較すると以下のように2年で5ポイントも上昇しています。
2021年7月~9月期 30.5%
2022年7月~9月期 33.4%
2023年7月~9月期 35.5%
政府の方針もリスキリングにより成長分野へ転職することによる構造的な賃上げを目指していますが、実態はそれを先行しており、結果的に企業も若手を中心に賃金水準の引き上げ、賃金の早期立ち上げカーブへの移行を急いでいます。この深刻な人手不足と転職市場の活性化によって、日本の賃金は短期的に上昇していくことが予想されます。
参考リンク
リクルート「2023年7-9月期 転職時の賃金変動状況(2023/11/2)」
https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/2023/1102_12718.html
(大津章敬)