33.1%の企業が外部労働市場の水準に対応して特定職種の賃金制度を変更

 近年、DX系人材や建設業の施工管理技士など、需給バランスの崩れから、労働市場での年収水準が高騰し、自社の賃金制度では処遇が難しいという状況がしばしば発生しています。そこで今回は、リクルートの「企業の人材マネジメントに関する調査2023「人材の評価」「賃金・報酬」「昇進・昇格」制度編」の中から、外部労働市場に対応するような賃金制度の導入状況について見ていきましょう。なお、この調査は人事担当者5,048人を対象に実施されたもので、今回の結果は、従業員規模30人以上の企業に勤める2,761人が集計対象となっています。

 「外部労働市場の水準に応じて、特定の人材については報酬制度を変更しいるか」という設問への回答は以下のようになっています。
ほぼ確実に行っている 6.5%
ある程度行っている 33.1%
どちらとも言えない 36.5%
あまり行っていない 18.8%
ほとんど行っていない 11.5%

 このように、外部労働市場の水準に応じて、特定の人材については報酬制度を変更している企業は33.1%となっています。人事制度構築のコンサルティングを日頃行う中で、最近、こうした特定職種の賃金相場への対応に関する相談を受けることが多くなっていますが、実際の企業の対応も進んでいることが分かります。

 なお、国としてもジョブ型の導入を推進していくという方向性がありますが、欧米型のジョブ型は社会システムの変革なくして実現することはありませんが、こういった特定の職種についてはジョブ型の導入が進んでいくことになると予想されますし、その結果、その職種の賃金水準が上昇するのであれば、リスキリングを通じて、そうした職種に転職する労働者も増加することになるのでしょう。こうやって社会が変わっていくのだと実感します。これからの賃金制度は内部の公平性だけでなく、外部労働市場との相当性も重要になっていきます。


参考リンク
リクルート「企業の人材マネジメントに関する調査2023「人材の評価」「賃金・報酬」「昇進・昇格」制度編(2023/11/16)」
https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/2023/1116_12755.html

(大津章敬)