若年正社員の転職希望 男性27.7%・女性35.1%
厚生労働省は先日、「令和5年若年者雇用実態調査」の結果を公表しました。この調査は、厚生労働省が、事業所における若年労働者の雇用状況、若年労働者の就業に関する意識など若年者の雇用実態について把握することを目的とし、5人以上の常用労働者を雇用する事業所約17,000カ所と、そこで働く若年労働者(満15~34歳の労働者)約23,000人を対象として令和5年10月1日現在の状況について調査を実施したもの。
これのうち、事業所調査の結果の概要は以下のようになります。
1 労働者に占める若年労働者の割合は低下
- 全労働者に占める若年労働者の割合 23.7%(前回(平成30年)調査 27.3%)
- 正社員に占める若年労働者の割合 25.4%(同 27.7%)
- 正社員以外の労働者に占める若年労働者の割合 20.8%(同26.8%)
2 「若年労働者の定着のための対策を行っている」事業所の割合は上昇
- 若年正社員 73.7%(同72.0%)
- 正社員以外の若年労働者 60.1%(同57.1%)
3 若年労働者の定着のための対策では、「労働時間の短縮・有給休暇の積極的な取得奨励」 を実施している事業所割合が上昇
- 若年正社員 52.9%(同37.8%)
- 正社員以外の若年労働者 44.9%(同33.4%)
一方、個人調査で注目されるのが、若年正社員の転職希望の状況です。若年正社員が、現在の会社から今後「転職したいと思っている」割合は31.2%、「転職したいと思っていない」割合は30.3%となっています。また、これを性別にみると、男性では今後「転職したいと思っている」が27.7%、「転職したいと思っていない」が32.6%であるのに対し、女性では今後「転職したいと思っている」が35.1%、「転職したいと思っていない」が27.8%となっており、女性の転職意識の高さが伺えます。また、年齢階級別にみると、今後「転職したいと思っている」は「20~24歳」層が35.0%、「25~29歳」層が33.4%といずれも30%を超えています。
若年正社員の転職希望理由については、以下が上位の回答となっています。
59.9% 賃金の条件がよい会社にかわりたい
50.0% 労働時間・休日・休暇の条件がよい会社にかわりたい
41.9% 仕事が自分に合った会社にかわりたい
33.8% 自分の技能・能力が活かせる会社にかわりたい
33.1% 将来性のある会社にかわりたい
24.8% 人間関係のよい会社にかわりたい
労働条件が転職の理由となっていますが、これらの項目の回答率は過去から継続して上昇しており、働き方改革や人手不足による賃上げといった環境変化が大きく影響していると考えられます。
参考リンク
厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/4-21c-jyakunenkoyou-r05.html
(大津章敬)