88.8%の企業で賃金のデジタル払いの導入予定はなし

 先日、PayPayが賃金デジタル払いの指定資金移動業者としての認定を受け、いよいよ我が国においても賃金のデジタル払いの環境整備が整いつつあります。そこで本日は、帝国データバンクの「企業の「賃金のデジタル払い」対応状況アンケート」の結果から、現在のこのテーマに関する企業の認識について見ていくこととしましょう。なお、アンケートの実施期間は2024年10月4日~10日、有効回答企業数は1,479社となっています。
 
 このアンケート調査のポイントは以下のようになっています。

  1. 賃金のデジタル払いの「導入に前向き」な会社は3.9%に止まり、88.8%は「導入予定はない」と回答。
  2. 導入に前向きな企業の理由の上位は、振込手数料の削減(53.8%)、従業員の満足度向上(42.3%)、事務手続きの削減(32.7%)。
  3. 導入予定がない企業の理由の上位は、デジタル払いと口座振込の二重運用や労使協定の改定など業務負担の増加(61.8%)、制度やサービスに対する理解が十分でない(45.0%)、セキュリティ上のリスクを懸念(43.3%)。

 現実的にはまだデジタル払いができる状態が整っていないため、具体的な検討にも入れていないというのが実情ではないかと思われますが、近年、スポットワークや副業など、短時間で働く労働者が増加していることから、中期的にはそうした労働者への賃金支払いの有力の方法の一つになってくるのではないかと予想しています。


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2024年8月20日「賃金のデジタル払い 指定資金移動業者第1号はPayPay」
https://roumu.com/archives/123828.html

参考リンク
帝国データバンク「企業の「賃金のデジタル払い」対応状況アンケート(2024/10/16)」
https://www.tdb.co.jp/report/economic/20241016_digitalsalary/

(大津章敬)