今年の新入社員が求める上司とそのキャリア観

 この時季になると今春の新入社員を対象とした様々な調査結果が出てきます。今回は、一般社団法人日本能率協会が、日同協会の新入社員向け公開教育セミナー参加者を対象に実施した「2024年度 新入社員意識調査」の結果を見てみましょう(l回答数 673 人 )。

 主要な調査項目と結果は以下のようになっています。
(1)意欲や能力を高めるために、上司や人事へ期待することは何ですか。
22.0% 成長や力量に対する定期的なフィードバック
17.4% ワークライフバランスがとれる柔軟な働き方ができる環境づくり
17.3% キャリアや価値観・強み/弱みについての定期的な話し合い
15.8% 20代が安心して働ける、見通しのよい制度・職場づくり
11.6% キャリアについての定期的なフォロー

(2) 「若いうちは自ら進んで苦労するぐらいの気持ちがなくてはならない」と思いますか。
41.8% 進んで苦労すべきだ
36.8% 好んで苦労する必要はない
21.4% どちらともいえない

(3)あなたが理想的だと思うのはどのような上司や先輩ですか。
25.5% 仕事について丁寧な指導をする上司・先輩
10.9% 仕事の結果に対するねぎらい・褒め言葉を忘れない上司・先輩
10.8% 部下の意見・要望を傾聴する上司・先輩
10.7% 言動が一致している上司・先輩
9.0% 部下の意見・要望に対し、動いてくれる上司・先輩

(4)あなた自身の仕事・働き方に対する考えはAとBのどちらに近いですか。
72.2% A:個人が評価され、年齢・経験に関係なく処遇される実力・成果主義の職場
27.7% B:競争よりも、ある年代まで平等に処遇される年功主義の職場

79.2% A:チームワークを重視する職場
20.8% B:個人の裁量に任せられる職場

77.7% A:仕事以外のことも相談できる職場
22.2% B:個人的なことにはあまり触れない職場

77.0% A:働いた仕事の「質」で評価される職場
23.0% B:働いた仕事の「量」で評価される職場

66.0% A:苦労は多いが、確実にスキルアップできる職場
34.0% B:苦労は少ないが、スキルアップは自身の努力による職場

 丁寧に仕事を教えてくれ、定期的にフィードバックをしてくれる上司を求めながらも、個人としてのスキルアップや評価に基づく処遇などを期待しているといったところでしょうか。まずはキャリアパスの明確化とそれに基づく人事評価制度の構築、そして上司の意識変革が求められるようです。 


参考リンク
一般社団法人日本能率協会「2024年度 新入社員意識調査(2024/12/4)」
https://jma-news.com/archives/6456

(大津章敬)