厚労省公開の改正育児・介護休業法のFAQ 新たに3つ追加

 2025年4月に一部が施行されることになっている改正育児・介護休業法ですが、規程整備等を進めていく中では、その対応をどのようにすればよいかという疑問に感じることも出てくるものです。
 厚生労働省は1月20日付けで施行通達を公表し、また、すでに公表されている「令和6年改正育児・介護休業法に関するQ&A(令和7年1月23日時点)」(以下、「FAQ」という)を、令和7年1月23日時点として更新しました
 更新されたFAQには、以下の3つが新たに追加されています。


Q2-4-2:
 シフト制を含む交替制勤務を行う労働者に、柔軟な働き方を実現するための措置は適用されますか。また、適用されるとした場合、どのような措置を講ずることが考えられますか。

A2-4-2:
 シフト制を含む交替制勤務を行う労働者も柔軟な働き方を実現するための措置の対象となります。
 また、シフト制を含む交替制勤務の形態は多岐にわたることから一概にお答えすることは困難ですが、一般論として、例えば交替制勤務(例:早番9時~17時、遅番13時~21時)の労働者について、通常であればいずれの勤務時間帯も一定割合以上の勤務が求められる場合に、希望したものは早番勤務のみとすることを認める措置は、新制度(柔軟な働き方を実現するための措置)のうち「始業時刻等の変更」を措置したこととなります
 なお、シフト制を含む交替制勤務であることで各労働日の始業・終業時刻が(上記例のように早番、遅番で)異なることをもって「始業時刻等の変更」が措置されたことにはなりません。また、始業又は終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる時間の範囲について一律の制限はありませんが、保育所等への送迎の便宜等を考慮して通常の始業又は終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる制度である必要があります。
 シフト制を含む交替制勤務の職場においては、テレワーク等を行うことが困難な場合も想定されますが、そのようなテレワーク等を行うことが業務の性質上困難な労働者については、それ以外の選択肢(「始業時刻等の変更(フレックスタイム制又は時差出勤)」、「短時間勤務制度」、「養育両立支援休暇の付与」、「保育施設の設置運営等」)から2以上を選択して措置することが求められます。

Q2-7-2:
 短時間労働者で既に6時間勤務以下の場合,当該短時間勤務制度の選択肢は措置済みと理解してよろしいでしょうか。または,短時間勤務制度以外で,2つ以上の措置を実施しなければならないのでしょうか。

A2-7-2:
 パートタイム労働者等の短時間労働者であって1日の所定労働時間が6時間以下のものについても、新制度(柔軟な働き方を実現するための措置)の対象となるところ、事業主が短時間労働者も含めて、①短時間勤務制度(1日の所定労働時間を6時間に短縮できるもの)と②それ以外の4つの選択肢のいずれかの措置で①②合わせて2つ以上講じた場合、新制度(柔軟な働き方を実現するための措置)の措置義務を履行したこととなります。なお、労働者の1日の所定労働時間が6時間以下であることをもって直ちに「短時間勤務制度」の措置を講じたことにはならず、事業主は短時間勤務制度を含む5つの選択肢の中から、2つ以上を選択して措置する義務があります。
 また、例えば、1日の所定労働時間が6時間以下の短時間労働者と、1日の所定労働時間が6時間を超える正社員がいる事業所において、正社員には短時間勤務制度以外の選択肢から2つの措置を講じつつ、短時間労働者には短時間勤務制度を含む2つの措置を講じるような場合、パートタイム・有期雇用労働法により、
(a)職務の内容、
(b)職務の内容・配置の変更の範囲、
(c)その他の事情
のうち、その待遇の性質及び目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理な待遇差に当たらないようにすることが求められます。併せて、事業主においてその際の理由を労働者に対して合理的に説明できなければなりません。

Q2-21-2:
 「3歳の誕生日の1か月前までの1年間」に該当する第一子を養育する労働者が、第二子の育児休業中の場合であっても、個別周知・意向確認の実施は必要ですか。

A2-21-2:
 「3歳の誕生日の1か月前までの1年間」に該当する子を養育する労働者への柔軟な働き方を実現するための措置に関する個別の周知・意向確認は、当該子以外の子の年齢や労働者の育児休業の取得状況等にかかわらず、当該1年間のいずれかの時期に実施する必要があります
 また、今回の改正では、個別の周知・意向確認の他に、勤務時間帯や勤務地、両立支援制度の利用期間の希望等といった個別の意向聴取・配慮も義務づけられていますが、第一子の「3歳の誕生日の1か月前までの1年間」(子が1歳11か月に達する日の翌々日~2歳11か月に達する日の翌日まで)のいずれかの時期の中で第二子の育休の開始時期等の状況に応じて、第二子の育児休業が開始する直前や、第二子が1歳に達し、原則的な育児休業が終了する直前など、事業主と労働者が何らかのコミュニケーションを取りやすいタイミングを工夫するなどして、こうした個別の周知・意向確認や個別の意向聴取・配慮を一体的に行っていただくことも考えられます。
 なお、個別の周知・意向確認については、①面談、②書面の交付、③FAXの送信(労働者が希望した場合のみ)、④電子メール等の送信(労働者が希望した場合のみ)のいずれかによることとされていますが、②書面の交付は、書面を直接手交することのほか、郵送によることも可能です。


 法改正への対応をしていく中での参考としましょう。


参考リンク
厚生労働省「令和6年改正育児・介護休業法に関するQ&A(令和7年1月23日時点」
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001383031.pdf
厚生労働省「【通達】育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の施行について(職発0120第2号 雇均発0120第1号 令和7年1月20日)」
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001378913.pdf
厚生労働省「【通達】育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の施行について(職発0120第2号 雇均発0120第1号 令和7年1月20日 改正令和7年1月20日 雇均発0120第2号)
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001378914.pdf
(宮武貴美)