遂に1,000件を突破した精神障害にかかる労災支給決定件数

 先週、厚生労働省は、令和6年度の「過労死等の労災補償状況」結果を公表しました。業務災害に係る脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況は例年大きく変わりませんので、ここでは、精神障害に関する事案の労災補償状況について見ていきたいと思います。

(1)請求件数 3,780件(前年度比+205件)
(2)支給決定件数 1,055件(前年度比+172件)
(3)年齢別の傾向

  • 請求件数は「40~49歳」1,041件、「30~39歳」889件、「50~59歳」870件の順で多い。
  • 支給決定件数は「40~49歳」283件、「30~39歳」245件、「20~29歳」243件の順に多い.

(4)時間間外労働時間別(1か月平均)の傾向

  • 支給決定件数は「100時間以上~120時間未満」が74件で最も多く、次いで「40時間以上~60時間未満」が70件。

(5)出来事別の傾向

  • 支給決定件数は、「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」224件、「仕事内容・仕事量の大きな変化を生じさせる出来事があった」119件、「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」108件の順に多い。

 令和6年度は支給決定件数が大幅に伸びて、遂に1,000件を突破しました。支給決定の理由となった出来事については、パワハラがトップとなっています。あらためてハラスメント対策を講じると共に、社内におけるメンタルヘルスケアを徹底していきましょう。


参考リンク
厚生労働省「令和6年度「過労死等の労災補償状況」を公表します」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59039.html

(大津章敬)