懸念される地方中小企業就業者の会社への満足度の低さ
労働力人口の減少が続く中、地方では都市部・首都圏への人口流出の問題も加わり、人手不足が深刻な状況となっています。そんな地方の中小企業で働く労働者を対象とした意識調査をマイナビが実施しましたので、本日はその結果を見ていくことにしましょう。
この調査では、「地方中小企業就業者」と「大企業就業者」を比較する形でレポートがまとめられていますが、その定義は以下のようになっています。
■地方中小企業就業者
【エリア】現在の勤務地が東京圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)を除く全国43道府県
【規模】会社全体の従業員数が5名以上、300名以下の民間企業
【属性】正社員として働く20代から50代
■大企業就業者
【エリア】現在の勤務地が全国47都道府県
【規模】会社全体の従業員数が1,000名以上の民間企業
【属性】正社員として働く20代から50代
(1)今後のキャリアに対する考え方
今後のキャリアに対する考え方については、地方中小企業就業者の方が「これからも今の会社で頑張りたい」という回答が約12ポイント低くなっています。
これからも今の会社で頑張りたい 地方中小企業23.2% 大企業35.5%
他に良い会社があれば転職したい 地方中小企業38.4% 大企業36.8%
成り行きにまかせる 地方中小企業28.8% 大企業21.7%
将来のことは考えない 地方中小企業8.8% 大企業5.9%
その他 地方中小企業0.8% 大企業0.4%
なお、地方中小企業就業者の「これからも今の会社で頑張りたい」という回答は年代によって大きな差があり、20代においては18.5%に止まっています。
(2)現在の仕事・環境の満足度
現在の仕事・環境の満足度については、「業務量・労働時間」「職場の人間関係」で満足(満足+やや満足)の割合が比較的高かった一方、「収入」「組織からの評価」「福利厚生」で不満(やや不満+不満)の割合が特に高く、3割を超えています。大企業との比較では福利厚生、収入において特に大きな差異が見られており、その不満から大企業や大都市の企業への転職も今後懸念されます。
地方創生は国としても大きな課題となっています。地方の中小企業がより収益性を高め、魅力的な職場を提供することが求められますが、それも簡単な話ではないというのが現実なのでしょう。
参考リンク
マイナビ「地方中小企業就業者の働く意識調査レポート(2025/8/1)」
https://career-research.mynavi.jp/report/20250801_99469/
(大津章敬)

