職場の満足度に関する今後の課題は賃金・人事評価・教育訓練
2019年以来、働き方改革が進められ、またコロナ禍を通じて、職場のコミュニケーションなどの在り方も大きく変化しました。その結果、従業員のみなさんの職場での満足度はどのような状態になっているのでしょうか。本日は、厚生労働省「令和6年就業形態の多様化に関する総合実態調査」の中から、個人調査(調査対象数23,060人・有効回答数14,076人)の項目の一つである。「現在の職場での満足度」について、見ていくことにしましょう。
仕事の内容・やりがいや賃金など11の項目と職業生活全体について、「満足」又は「やや満足」とする労働者割合から「不満」又は「やや不満」とする労働者割合を差し引いた満足度D.I.をみると、正社員と正社員以外では以下のような結果となっています。
正66.3% 非46.0% 雇用の安定性
正60.0% 非63.3% 仕事の内容・やりがい
正52.3% 非51.5% 正社員との人間関係、コミュニケーション
正45.3% 非52.4% 労働時間・休日等の労働条件
正44.6% 非56.9% 正社員以外の労働者との人間関係、コミュニケーション
正41.8% 非21.0% 福利厚生
正41.2% 非37.9% 職場の環境
正28.0% 非34.2% 職場での指揮命令系統の明確性
正20.8% 非18.4% 賃金
正20.5% 非28.5% 人事評価・処遇のあり方
正20.3% 非15.7% 教育訓練・能力開発のあり方
正43.0% 非41.7% 職業生活全体
雇用区分の特性により、若干傾向が異なる部分もありますが、全体として、「仕事の内容・やりがい」、「人間関係、コミュニケーション」、「労働時間・休日等の労働条件」という働き方や仕事内容についての回答は比較的よいスコアになっています。
これに対して、「賃金」、「人事評価・処遇のあり方」、「教育訓練・能力開発のあり方」といった項目については低スコアになっており、今後、従業員の満足度を高め、その定着を図るためにはこうした点の改善が望まれることが分かります。
なお、この資料を詳細に見ると、登録型派遣のみなさんの満足度が他の就業形態と比較して非常に低くなっていることから、社会的には労働者派遣制度の在り方も含め、議論が必要ではないかと考えさせられる結果となっています。
参考リンク
厚生労働省「令和6年就業形態の多様化に関する総合実態調査の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keitai/24/index.html
(大津章敬)

