健康保険組合、全体としては145億円の黒字も47.9%の組合が赤字

 健保連は2025年9月25日、「令和6年度健保組合決算見込と今後の財政見通しについて」を発表しました。そのポイントは以下のとおりとなっています。

  1. 令和6年度決算(見込み)の経常収支は145億円の黒字へ。収支は改善したが、依然、約半数の660組合(47.9%)が赤字の状況。
  2. 保険料収入は、30数年ぶりの高い賃金上昇の影響 (+2,277億円)に加え、保険料率の引き上げ(+1,069億円)があり、前年度に比べ+4,261億円(+4.9%)の増加。
  3. 保険給付費は、6年度の医療費が新型コロナの特例措置の廃止等の反動により+1.1%と低めに推移し、対前年度+623億円(+1.3%)の増加。
  4. 高齢者等拠出金は、対前年度+5.7%と保険料収入の伸びを上回り、+2,065億円の増加。

 このように給付費や拠出金が増加しているものの、賃上げおよび保険料率引き上げの影響により全体としては145億円の黒字という状況になっています。しかし、約半数の組合は赤字であり、今後の高齢化の進展と医療費の増加を考えれば、危機的な状況は変わらないとしています。

 そんな中、「「ポスト2025」健康保険組合の提言」も公表し、その中で加入者(国民)への3つのお願いをまとめています。

  1. 医療費のしくみや国民皆保険制度の厳しい状況についてもっと知ってください。
  2. 自分自身で健康を守る意識をもってください。健診をきちんと受けてください。
  3. 軽度な身体の不調は自分で手当てするセルフメディケーションを心がけてください。

 これは健康保険組合の加入者に限った話ではなく、我が国の国民皆保険制度を守っていくためにも重要な事項となります。少子高齢化の中、将来世代の負担軽減を目指すためには不可欠な取り組みとなるでしょう。制度面の改革と共に、国民としても意識しておきたいものです。


参考リンク
健康保険組合連合会「『「ポスト2025」健康保険組合の提言 』を発表(2025/9/25)」
https://www.kenporen.com/press/2025-09-25-08-52.shtml
健康保険組合連合会「令和6年度健保組合決算見込みを発表」
https://www.kenporen.com/press/2025-09-25-08-44.shtml

(大津章敬)