注意喚起が進む従業員に対する商品買取の強要等の問題

労働力人口が減少に向かう中、従業員の労働環境の改善に取り組む企業は多くある一方で、取組みが進められない企業もあるかと思います。さまざまな企業がある中で、従業員に対し、従業員の自由な意思に反して自社の商品・サービスを購入させる行為(商品の買取り強要等)が様々な分野で発生しており、問題になっているようです。

厚生労働省が実際に示している例としては、営業職の従業員に対して、いわゆる「営業ノルマ」(以下「ノルマ」という。)として自社商品の売上目標を設定し、ノルマが未達成だった場合に、従業員自身に自社商品を購入するよう求めるようなものが挙げられています。

従業員の自由意思で自社の商品・サービスを購入すること自体は、何ら問題ないものですが、商品の買取り強要等に関しては、商品の買取り強要等は、労働者の経済的損失や精神的苦痛につながるとともに、民法や労働関係法令上様々な問題があります。

厚生労働省は「商品の買取り強要等に関連して問題となる事例」を、具体的なケースとして示しつつ、参考となる裁判例も紹介し、事業主に対し注意喚起を進めています。直接消費者にサービス提供をしている企業を中心に、実質的に商品買取の強要等が行われていないか実態確認をする必要があるかもしれません。


参考リンク
厚生労働省「労働者に対する商品の買取り強要等の労働関係法令上の問題点」
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001465963.pdf
(宮武貴美)