カスハラ防止対策の取組み状況は38.5%、1,000人以上企業では82.3%

多くの職場でカスハラの問題が発生していますが、東京都は先日、「令和7年度 カスタマーハラスメントに関する実態調査」の報告書を公表しました。本日はその中から企業側の調査結果のポイントを見ていきたいと思います。
(1)過去1年間におけるカスタマーハラスメントに関する従業員からの相談の有無については、以下のように合計25.5%の企業で相談を受けた、もしくは見聞きしたことがあると回答しています。
12.4% 相談を受けたことがある
13.1% 相談を受けたことはないが、見聞きしたことがある
70.8% 相談を受けたことも見聞きしたこともない
3.1% 分からない
0.6% 無回答

(2)相談を受けた、もしくは見聞きしたことがあるという回答が多い業種の上位は以下のようになっています。やはりエンドユーザーとの接点が多いサービス業でカスタマーハラスメントの問題が多く発生していることが分かります。
47.0% 医療、福祉
43.7% 生活関連サービス業、娯楽業
37.5% 複合サービス事業
37.3% 宿泊業、飲食サービス業
35.3% 金融業、保険業

(3)カスタマーハラスメントに該当すると判断した事案による被った損害や被害の上位は以下のようになっています。通常業務遂行への悪影響は問題ですが、それ以上に従業員の仕事への意欲・やりがいの低下、そしてそこからの離職、メンタルヘルス不調が大きな課題となっており、従業員を守るという視点での対策が重要となっています。
77.0% 従業員の仕事への意欲・やりがいの低下
65.1% 通常業務の遂行への悪影響
15.5% 従業員の離職
13.1% 風評被害、信用失墜
8.5% 従業員の休職

(4)カスタマーハラスメント防止対策の取り組み状況は、38.5%の企業で取り組んでいると回答しています。この取り組み率は従業員規模に比例して増加しており、1,000人以上企業では82.3%が取り組んでいると回答しています。

(5)カスタマーハラスメント防止対策で既に取り組んでいる内容は以下のようになっています。
65.7% カスハラを受けた従業員が相談できる窓口の整備
52.9% 実態把握のための調査
50.9% カスハラを受けた従業員のケア
47.8% 教育・研修等の実施
43.0% 基本方針等の作成
42.7% 就業規則の整備(準ずるものを含む)
42.3% 労働者や労働組合等との意見交換・衛生委員会の活用等
36.8% 行為者に対する措置(出入禁止等)
35.7% 基本方針等の公表
32.9% マニュアル(カスハラの判断基準や対応フロー等)の作成
31.4% 録音・録画の整備
30.0% 従業員が取引先等から被害を受けた場合の取引先等への協力依頼
25.9% 企業法務や労務等の外部人材の活用

今年10月からは改正労働施策総合推進法により全企業に対しカスハラ対策が義務化されます。気づけば施行まで半年を切っていますし、また実態としては多くの職場でそうした問題が発生しています。従業員を守る意味からも、法施行に先立ち、早めに対策を進めておきたいものです。


参考リンク
東京都産業労働局「令和7年度 カスタマーハラスメントに関する実態調査 報告書」
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/kaizen/ryoritsu/houkokusho_r7.pdf

(大津章敬)