2027年卒大卒新卒採用、求人倍率は微減も初任給上昇が顕著に
新卒採用の激戦状況が続いていますが、本日はリクルートワークス研究所による「第43回 ワークス大卒求人倍率調査(2027年卒)」の結果をもとに、2027年卒の大卒求人の状況について見ていきたいと思います。なおこの調査の対象は従業員規模5人以上の全国の民間企業8,200社で、回収社数:3,933社となっています。
(1)調査結果の概要
- 2027年3月卒業予定の大学生・大学院生を対象とした大卒求人倍率は1.62倍となり、前年の1.66倍から0.04ポイント低下しました 。求人倍率の低下は2年連続となりますが、依然として1倍を大きく上回る水準にあります 。
- 数値の内訳を見ると、全国の民間企業の求人総数は74.8万人(前年比2.2%減)と減少した一方で、民間企業への就職希望者数は46.2万人(前年比0.3%増)と微増しています 。この結果、求人数が就職希望者数を28.6万人上回る「超過需要」の状態にあり、企業間の採用競争は依然として激しい状況が続いています 。
(2)従業員規模・業種別の求人動向
- 採用市場の動向は、企業の規模や業種によって顕著な差が見られます。
5,000人以上(大手): 求人数は5.5万人(前年比4.0%増)と増加しており、大手企業の採用意欲は堅調です 。
300〜4,999人(中堅・準大手): 300〜999人規模(前年比1.6%減)、1,000〜4,999人規模(前年比1.4%減)ともに、前年から求人数を減らしています 。
300人未満(中小): 求人数は38.5万人(前年比3.5%減)と、減少幅が相対的に大きくなっています 。 - 求人数が減少した背景には、前年の採用実績が計画を下回った企業が予定数を絞り込んだことや、2026年度の方針として中途採用の割合を増やす動きが見られることが挙げられます 。
(3)初任給の上昇傾向
- 採用競争の激化を象徴するのが、初任給の引き上げです。2026年4月入社者の平均初任給額は23.7万円となり、前年の22.8万円から0.9万円(3.9%)増加しました 。これは2023年4月入社以降、4年連続の増加となります 。
全体 23.7万円(+0.9万円)
300人未満 22.8万円(+0.7万円)
300~999人 23.8万円(+0.9万円)
1,000~4.999人 24.8万円(+0.8万円)
5,000人以上 25.6万円(+1.5万円) - 従業員規模や業種を問わず、全ての区分で初任給が増加しますが、中でも5,000人以上は前年比+1.5万円で、25万円台となっています。
本調査結果を踏まえ、今後の新卒採用戦略において留意すべき点は以下の3点に集約できます。
- 「質」を重視した母集団形成の転換: 全体的な求人数は微減していますが、超過需要の状態に変わりはありません 。従来の「数」を追うスカウトや広報だけでなく、自社の魅力を再定義し、ターゲット層に深く刺さるコミュニケーションが求められます。
- 処遇改善とキャリア提示のセット化: 初任給の引き上げはもはや「前提条件」となりつつあります 。給与面での訴求に加え、入社後のキャリアパスや成長環境、ワークライフバランスといった非金銭的な価値をいかに提示できるかが分かれ道となります。
- 採用ポートフォリオの柔軟化: 一部の企業で見られるように、新卒採用の苦戦を補うための「中途採用の拡大」も一つの現実的な選択肢です 。新卒と中途のバランスを再検討し、組織の持続可能性を考慮した人員計画の策定が急務です。
2027年卒の採用市場は、求人倍率の数字上はわずかに緩和したように見えますが、大手企業の意欲は高く、中小企業にとっては依然として厳しい「超・売り手市場」が続きます。競合他社の動向を注視しつつ、自社独自の「選ばれる理由」を磨き上げることが、採用成功の鍵となるでしょう。
参考リンク
株式会社インディードリクルートパートナーズ「大卒求人倍率調査(2027年卒)2026/4/23」
https://www.works-i.com/surveys/report/260423_recruitment_saiyo_ratio.html
(大津章敬)

