2026年度の新入社員の傾向と指導・育成のポイント

東京商工会議所は、2026年度の新入社員を対象に、社会人生活や仕事に対する意識等を調査し、結果を取りまとめました。本日はそのポイントを取り上げましょう。なお、本調査の対象は東京商工会議所が実施した新入社員研修の受講者930名で、回答数は858名となっています。
(1)就職活動について
就職活動について、2023年度以降、「順調だった」・「ほぼ順調だった」の合計値は増加傾向であったが、2026年度はやや低下し、「厳しかった」との回答が増加しており、新卒の就職環境が変化し始めていることが分かる。
順調だった 23.2%(前年23.7%)
ほぼ順調だった 37.5%(前年38.9%)
やや厳しかった 29.4%(前年30.2%)
厳しかった 9.9%(前年7.2%)

(2)就職先の会社でいつまで働きたいか
転職・退職に関する回答の合計は38.4%となっています。これは2022年度の31.6%と比較すると、6.8ポイントの増加となっています。なお、2022年度のひかくでは「特に考えていない」という回答が44.7%から36.0%と大きく減少しており、自らの将来のキャリアを考える新入社員が増えているという印象を受けます。
定年まで 25.6%(2022年度23.8%)
チャンスがあれば転職 23.8%(2022年度18.6%)
将来は独立 7.1%(2022年度6.9%)
時期を見て退職 5.1%(2022年度3.2%)
子どもができるまで 1.2%(2022年度1.0%)
結婚するまで 1.2%(2022年度1.9%)
特に考えてはいない 36.0%(2022年度44.7%)

(3)就職先の会社を決める際に重視したこと
上位から以下のような項目が並んでいます。
57.9% 社風、職場の雰囲気
53.1% 処遇面(初任給、賃金、賞与、手当など)
44.3% 就職先の会社の事業内容
40.4% 福利厚生
40.2% 働き方改革、ワーク・ライフ・バランス(年休取得状況、時間外労働の状況など)
23.3% 人材育成・研修制度、自己啓発への支援
18.6% 柔軟な働き方(テレワーク、時差出勤、フレックスタイム制、裁量労働制など)
15.2% 就職先の会社の強みや経営力(技術力、市場での優位性、成長力、利益率など)
12.5% 経営方針、経営計画、社是
9.4% 就職先の会社の事業の社会への貢献度
5.9% 出産・育児等との両立支援
5.5% 多様な人材が活躍している状況(女性、高齢者、外国人など)
5.2% キャリアパスの提示、社員が活躍している事例
2.1% 兼業・副業の導入、推進
1.3% 就職先の会社の表彰歴、顕彰歴

(4)「理想だと思う上司」はどのようなことを大事にしたり重視する人か
49.8% 仕事の指導を丁寧に行うこと
36.8% 人間関係、チームワークを重視すること
35.3% 明確な理念や考えを持っていること
26.8% 業績や成果を正当に評価すること
24.4% 部下に対して優しく丁寧に接すること
21.0% 若者の感覚や考え方を理解すること
19.2% 部下の意見や考えを真摯に聞くこと
18.5% 上司自ら具体的な手本を見せること
16.8% 部下との仕事上のコミュニケーションを重視すること
6.4% 部下をほめること
4.0% 部下との仕事外でのコミュニケーションを重視すること
3.5% 部下に仕事を任せること
1.7% 部下を厳しく指導すること

以上、今回の調査の主要なポイントを紹介しましたが、その他の内容も含めて見てみると以下のような示唆があるように感じます。
(1)指導スタイルのアップデート
丁寧なフィードバックの徹底新入社員は「丁寧な指導」を切望しており、自身の適性に対して強い不安を抱いています 。初期段階では、マニュアルの整備だけでなく、上司・先輩による「なぜこの業務が必要か」「どの点が評価されたか」という具体的かつ即時的なフィードバックが、彼らの不安を払拭し、早期の戦力化を促します。
(2)心理的安全性を高めるコミュニケーション設計
8割以上が業務外の交流を求めている結果を受け、職場内での「インフォーマルな交流」の機会を再設計することが有効です 。強制的な飲み会ではなく、ランチ会の補助や、部署を超えた懇親会など、新入社員が「社風や雰囲気」をポジティブに感じ取れる場を提供することが、エンゲージメント向上に寄与します。
(3)自律的なキャリア開発の支援
離職を視野に入れている層が一定数存在する現状に対し、「定年まで」と引き留めるのではなく、「この会社にいることで、どこでも通用するスキルが身につく」という自律的な成長機会を提示することが重要です。管理職志向も「成長」を軸としているため、キャリアパスの早期提示やリスキリング支援の充実が、結果として中長期的な定着につながります。

2026年度の新入社員は、成長意欲が高く、組織との繋がりを求めている一方で、自身の適性やキャリアに対して極めて現実的な不安を抱えていることが本調査から分かりました。企業の人事労務担当者としては、彼らの「成長したい」「馴染みたい」という欲求を適切に捉え、丁寧な伴走支援とオープンなコミュニケーション環境を整えることが、これからの組織運営において不可欠となるでしょう。


参考リンク
東京商工会議所「2026年度 新入社員意識調査(2026/4/22)」
https://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=1209339

(大津章敬)