今年の新入社員は仕事のやりがいより給与の高さを優先?

 先日、社会経済生産性本部より毎年恒例の「新入社員 意識調査」の結果が発表された。調査結果の要旨としてトップに挙げられていたのは以下の4点であった。
●自分の良心に反する仕事でも、会社のため指示のとおり行動するとした割合が2年連続して4割を超え、新入社員の倫理面での悪化傾向が伺える。
●「従来の基準や慣習に反しても、法律に反しないことであれば、多少強引な手段や方法をとっても問題ない」には3割強が肯定的な意見となった。
●大勢としては能力主義や業績主義を希望するなか、年齢や経験によって給料や昇格が決まることを希望する割合がそれぞれ3割を超えた。
●転職に関しては否定的な意見の割合が増加した。また「就職先選択に際し、会社に対して求めたこと」の優先順位では「仕事のやりがい」が減少し、「給料がたくさんもらえる」が増加した

 

 この中で特に気になったのが最後の項目である。詳細を見ると以下のようになっている。就職先選びに際し、優先順位第1位とした割合という項目であるが、「仕事にやりがいがあること」が65.3%、「給料をたくさんもらえる」が11.6%となっていた。ここまでは良いのだが、問題は昨年からの比較である。「仕事にやりがいがあること」は昨年に比べマイナス7.0ポイントであるのに対し、「給料をたくさんもらえる」がプラス5.1ポイントとなっている。これはもう異常値と言っても良いくらいの変動ではないだろうか。仕事自体に対してのモティベーションが低下し、仕事は必要悪であり、もっとも効果的に稼げれば良いという職業観が増加し始めているように思えて仕方がない。仕事は本来面白いものである。もし現状、面白くないのであれば、面白くするものである。仕事に費やす時間は人生のうち、かなりの部分を占めている。それがつまらない、必要悪だと考えるのでは、到底人生を楽しむのことはできない。そもそも収入も嫌々行っている仕事では、増えることはないだろう。仕事が面白いからこそ頑張れて、それが認められるからこそ給与が増えるのである。楽して儲けたいというような考え方では、短距離走で仮に勝つ可能性はあっても、長距離走では勝てないであろう。こういった若者にも仕事の面白さを理解させる組織や職務編成を考えたいものである。

 

(大津章敬)