高齢者が活躍し続けられる社会へ 定年の引き上げ
現在、多くの企業が定年を60歳と定めていますが、数年のうちに団塊世代は定年退職を迎え、年金を支払っていた人が受け取る側になります。世界でも類を見ないスピードで進む日本の高齢化は2015年には4人に1人が65歳以上になり、少子高齢化に対応して社会も変化していかなければならない状況になっています。
団塊世代の引退は労働力の減少のみならず、技能・技 術の継承など様々な問題・影響が考えられますが、そんな中で年金の受給開始年齢の引き上げに対応して、高齢者が意欲と能力のある限り年齢にとらわれず働き続けられるよう、高年齢者雇用安定法が改正されました。これにより65歳までの雇用確保措置の導入と高年齢者の再就職促進等を図る措置が図られています。現在65歳未満の定年を定めている事業主は65歳までの安定した雇用を確保するため次のいずれかの措置を講じなければなりません。
□定年の引き上げ
□継続雇用制度の導入
□定年の廃止
今回は平成18年4月1日施行の高年齢者の雇用確保措置について、その概略を説明します。
定年の引き上げは年金支給開始スケジュールに合わせ平成25年4月1日までに段階的に引き上げていくものです。
□平成18年4月1日~平成19年3月31日まで・・・・62歳
□平成19年4月1日~平成22年3月31日まで・・・・63歳
□平成22年4月1日~平成25年3月31日まで・・・・64歳
□平成25年4月1日以降 ・・・・・・・・・・・ 65歳
平成18年4月1日から平成19年3月31日に60歳になり60歳の誕生日で定年退職する人は62歳までの高年齢者雇用確保措置の対象になり、平成19年4月1日以降も引き続き雇用されていれば、63歳までの高年齢者雇用確保措置の対象になります。これは62歳になったときには既に②の期間に該当し高年齢者雇用確保措置の対象年齢が63歳になっているためで、最長63歳までこの措置の対象になります。また、年金の支給開始年齢の引き上げスケジュールは男女で異なりますが、高年齢者雇用確保措置の義務化は男女で異なるものではなく同一となっています。
雇用の延長は60歳以上だけの問題ではなく、人件費の増加と若年層の雇用に対する影響を懸念する声や若年・女性の雇用問題が改善されない中で高齢者の雇用対策のみを優遇すべきではないとの意見もあります。しかしながら、今後人口は減少に転じ超高齢社会になることは確実で、高年齢者の労働意欲をそぐこと無く若年・女性も含めバランスのとれた雇用対策が望まれます。
※その他、高年齢者雇用安定法に関しては以下をご参照下さい。
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/kourei2/
(土方憲子)