年々増え続ける心の病気
ここ数年、多くの企業でメンタルヘルスの問題が深刻化しています。今回はその実態を理解するという意味から、社会経済生産性本部 メンタル・ヘルス研究所が昨年8月に発表した「産業人メンタルヘルス白書」:pdfより、その内容の一部をご紹介します。
この報告書は1)企業における「心の病」の実態、2)メンタルヘルスへの取り組み、3)施策と「心の病」との関係、4)30代を取り巻く状況という4部構成になっていますが、まずは1)企業における「心の病」の実態と、4)30代を取り巻く状況の中から、そのポイントを挙げてみましょう。
□約6割の企業において、過去3年間の心の病気は「増加傾向」を示している。
・前回調査(2002年実施)と比べると48.9%⇒58.2%と9.3%増となり、いずれの規模の企業でも悪化。
・66%の企業で1ヶ月以上休業している従業員が存在する。規模3,000人以上の企業では95.9%もの確率で存在。
□「うつ病」(85.8%)がもっとも多く、次いで「心身症」(4.5%)「神経症(ノイローゼ)」(2.6%)が多い。
□年齢層としては約5割の企業が30代と回答。
・業種・規模に関係なく30代がトップ。
・具体的な理由は3つ。
1.仕事の負担感:物理的なものより精神的なもの。余裕のなさ。
2.将来への不安:若い年齢層では定年後・高年齢層では会社の将来が心配。
3.評価への不満:昇進・昇給制度の公平性、給与制度の合理性に対するもの。
一方で、厚生労働省の調査によれば、仕事や職場環境に対する不安や悩みを感じている労働者は年々確実に増加しており、常に過半数の労働者が何らかのストレスを感じながら働いていることがわかります。
1982年:50.6%
1987年:55.0%
1992年:57.3%
1997年:62.8%
2002年:61.5%
このように企業の中のメンタルヘルス問題は拡大を続けており、企業側としてはカウンセラーの雇用・管理者向け教育などの対策を行う必要性が急速に高まっています。先進的な企業が実施しているメンタルヘルスに関する具体的な施策については、またの機会にまとめたいと思います。
(労働者保護チーム)