社員の定着率を向上させるためのファーストステップ
最近、当社のお客様から「よい人材が確保できない」「人材が集まりにくくなった」という声が多く聞かれるようになりました。これは名南経営が本拠を置く東海地区が好況であるという背景もありますが、それ以上に少子化や若年層を中心とした就労意識の変化も見逃すことができないでしょう。過去10年間はリストラよる人員削減が進められた期間でしたが、今後は労働人口の減少という環境を背景に、企業にとっては良質の労働力の確保という観点から現在の社員を如何に定着させるのかということが、今後の企業経営にあたっての大きな課題となってきました。
「当社の社員にやる気がなく、離職率も高いのは賃金制度に問題があるからだ」というような掛け声のもとに、まずは賃金制度を見直しモチベーションを高めさせようする企業が少なくありません。しかし、成果主義というキーワードから必要以上に社員間で賃金格差をつけることは、返って風土悪化の原因になることが少なくありません。その他にも福利厚生の見直しなどを検討する企業もありますが、そういった各論としての対策を打つ前に、その根本的な原因を追求しなければ十分な効果を導き出すことは難しいでしょう。よって、人材の定着に関する課題を抱えている企業では、まず以下の質問について現状の把握をすることをお勧めしています。
□これまで退職していった社員は具体的にどういった理由によるものか?またそれを解消することは不可能なのか?
□当社の社員が、友人を社員として紹介したくないのであれば、それはどういった理由があるからか?
□業務に負担を感じて退職する社員が多いのであれば、業務の一部をアウトソーシングをすることができないのか?
□定期的に社員の不満を抽出する場を設けているか?
□労働時間等、世間と比して「異常」な部分はないか?
人材定着を促進する場合には、こうした基本的な労働条件・労働環境の分析を行うことが、そのファーストステップであるということをご認識頂きたいと考えています。
(服部英治)