今年の人事院勧告は2年ぶりのマイナス勧告
本日、人事院より「平成17年人事院勧告・報告の骨子」が公表されました。
今回は2年ぶりの引き下げ勧告となっており、平均年間給与は行政職平均でマイナス4,000円(△0.1%)。また、配偶者に係る扶養手当も13,500円から13,000円に引下げがなされています。一方、賞与(期末・勤勉手当)は、民間の支給割合に見合うよう4.4月分から4.45月分に0.05月分引き上げられ、これにより35歳で配偶者+子供1人の係長のモデル給与は月額で314,500円、年間で5,212,000円となり、年間ベースではマイナス7,000円という結果となっています。そもそも国家公務員の給与は、市場原理による決定が困難であることから、その時々の経済・雇用情勢等を反映して決定される民間の給与に準拠して定めることが最も合理的という民間準拠の考え方で決定されていますが、月額給与および配偶者手当の抑制、そして賞与へのシフトという民間の流れが反映していることに、当たり前のことながら気付かされます。
また今回のもう1つの目玉は、昭和32年以来約50年振りとなる給与構造の抜本的な改革が明記されたことでしょう。ポイントとしては、給与カーブをフラット化、等級制度の簡素化、最高号俸を超える場合の対応の明確化、地域手当の新設、勤務成績(A~Eの5段階)に基づく昇給制度の導入、勤勉手当への実績反映の拡大、昇格審査に昇給および勤勉手当に係る勤務成績の判定結果を活用といったところが指摘されるでしょう。
民間企業に比べれば当然動きは遅いでしょうが、国家公務員の給与制度も少しづつ着実に変革しているような印象を受けました。もっとも人材のモティベーションのアップはこういった給与制度改革だけでは実現されません。人事評価や職務配置、部下とのコミュニケーションといった本質的な課題にも積極的に取り組み、様々な提言をしてもらいたいと思います。