経営者が認識すべきリーダーシップ論「自己啓発意識の醸成」
「企業は人なり」と言われますように、多くの企業で、社外研修やOJT(On the Job Training)など、様々な教育活動に力を入れておられます。ところが、いくら企業側が教育活動に力を入れたとしても、当の本人に、積極的に取り組りむ意欲が無ければ、いくら投資をしても好ましい成果を出すことは難しいといえます。せっかくの投資(研修費用、参加時間、参加の労力)がムダになっていることも決して少なくありません。
そう考えますと、我々が教育活動をする上で、まずもって確認しておかなければならないことは、教育を受ける本人がどの程度「自己の成長」を願っているか、どの程度「自らの能力や意欲」を高める意識があるか、すなわちどの程度の「自己啓発意識)があるかという点において、しっかりと見極めておく必要があるということです。実際に、我々中小企業の現状は、研修などの教育活動に力を入れてはいるものの、社員一人ひとりがこうした意識を十分持ちえることが出来ず、結果として「やらされ」意識となり、それ故思うような成果を上げることができていないということがいかにも多いといえます。故に、社員教育に関しては何よりもまして、「自己啓発意識の醸成」という点に重点を置いた取組みがなされなければいけないといえます。
それでは、社員一人一人に自己啓発の意識を持たせ、期待する行動を起こさせるためにはどうすれば良いのでしょうか?それには、自らを高めたいという欲求」を、何より強く持たせることです。欲求とは、「有るべき姿」と「現状」のギャップを埋めたいと思う心情です。したがって、欲求を持たせるためには、
○自分の有るべき姿(憧れ、目標)を明確に意識させる
○それとは異なる「現実の自分」を正しく認識させる
ことが何より必要となります。
しかし、こうした「欲求」を持たせるだけで、期待する行動を起こすことができると断言するのはいささか乱暴であります。例えこうした「欲求」を持ちえたとしても、その「欲求」が行動に結び付くほど「強烈な欲求」ではなかったり、どのように行動に移せば良いのかわからないなどという状態では、行動に至ることは難しいといえます。したがいまして、社員に期待する行動を促進するためには、上司や周囲の方々の温かいサポートが必要になってくるのです。
サポートとは、社員の行動様式が革新しやすい状況を作り出すことです。すなわち、
○欲求水準を“不断に高い状態”に維持させるような働きかけ
○その欲求を充足させるための方法を、“具体策”として明確にする
ことであります。
人間の成長は、その人の意識の問題です。多くの知識や技能を与えても、受け入れるだけの「器」が無ければ、零れるだけです。何よりも、受け入れる「器」を広げる(=動機付ける)。これこそ、教育活動を行う上で我々が最も配慮しなければいけないポイントであります。