「聞く」こともコミュニケーション
今回はコミュニケーションを行なう際の、聞き方についてお話したいと思います。
例えば、年末に上司と部下で面談を行ったとします。上司の増田部長は多忙のため、普段はあまり部下と接する機会がありません。そこで部下の岡田は、この年末の面談を日頃から浮かんだアイディアや仕事に対する気持ちなどを増田部長に伝える良い機会だと考えていました。
しかし、面談時の増田部長は椅子に踏ん反り返り、足組み腕組み状態。話しかけても目も合わせず、表情も変わらないという態度で臨みました。この威圧的な様子に岡田も話そうとしていた気持ちがしぼんでしまい、結局、増田部長は面談を開いたのにあまり話をしてくれない、岡田は話そうと思っていたことが何も話せず、と双方にとって面談はあまり意味の無いものになってしまいました。
よくコミュニケーションは会話のキャッチボールと言われます。キャッチボールというと、投げているモノ自体に注目することが多いのですが、本当に大事なのはキャッチボールには受け手がいるということなのです。受け手がいなければ、どんなモノをどのように投げようともキャッチボールは成立しません。このことから、うまくいっていないコミュニケーションは話し方よりも聞き方を改善することが重要とされています。
あなたは自分自身の「聞く」態度を意識したことがありますか?下のチェックリストで3つ以上に該当する方は、もしかしたら部下から本音等が引き出せておらず、無意識にストレスを与えているかもしれません。
□ 相手の目を見ずに聞く
□ 何かをしながら聞く
□ 腕や足を組みながら聞く
□ 踏ん反り返りながら聞く
□ 表情を変えずに聞く
□ 相槌を打たずに聞く
□ 内容に興味を持とうとせずに聞く
□ 急に内容を変えてしまう
□ 初めから内容を結論付けて聞く
□ 初めから否定の気持ちで聞く
上のチェックリストを意識して聞き方を改善したら、次は「聞く」から「聴く」へと気持ちを変化させましょう。「聴く」とは耳だけではなく、十四の心で聴くという意味があります。聴き方はまず態度から変え、それから積極的に聴きたいという気持ちを持つことが大切です。部下にストレスを与えず、部下から気持ちやアイディアを引き出す聴き方(傾聴)を意識してみましょう。部下のモチベーションを上げるには、上司がいつでも聴いてくれるという安心感を与えることが非常に重要です。
(志治英樹)