1年単位の変形労働時間制

 今週末は1年単位の変形労働時間制についてご説明します。この制度は、季節等によって業務量の差がある場合に、労働時間を効率的に配分することで、繁忙期に生じる時間外労働を削減し、総労働時間を短縮することを目的としています。


1.要件
・労使協定において次の事項を定め、労働基準監督署長に届け出なければなければなりません。
1)対象労働者の範囲
・対象期間を通じて勤務する労働者のみならず、期間の途中で採用・退職する労働者についても対象とすることはできますが、当該労働した期間を平均して週40時間を超えた場合には割増賃金の支払が必要となります。
2)対象期間(1ヶ月を超え1年以内)
・1年を通じて運用することが一般的ですが、1年間のうち一定の期間についてのみ適用することもできます。
3)特定期間(対象期間中の特に業務が繁忙な期間)
・特定期間を定めるか否かの別、またその期間を定めます。複数設定することは可能ですが、対象期間中のほとんどを特定期間としたり、途中で変更することはできません。
4)対象期間における労働日及び労働日ごとの労働時間
・1ヶ月以上の複数の期間に区分する場合は、最初の期間については労働日の特定と日ごとの労働時間を定める必要があります。しかし、その他の期間については、それぞれの期間における労働日数と総労働時間を規定しておけば足り、具体的な労働日は各期間の初日の30日前までに定めればよいこととされています。
5)協定の有効期間
・通達によると、有効期間は1年程度とすることが望ましいが、3年程度以内のものであれば差し支えないとされています。


2.効果
・1年単位の変更労働時間制を採用することで、繁忙期には1日8時間、週40時間という枠を超えて労働させても法違反とはなりません。ただし、そもそもこの制度は突発的なものを除き、恒常的な時間外労働は生じないことを前提としています。したがって、極力時間外労働がないようにすることが必要とされ、時間外労働に関する限度基準は一般の労働者よりも短く定められています。明日は、これら運用にあたっての各種制限について取り上げたいと思います。


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