1年単位の変形労働時間制に関する留意点

 昨日もご紹介しましたが、1年単位の変形労働時間制は、季節等によって業務の繁閑に差があるような場合に、その変動にあわせて労働時間の効率的な配分を行うために設けられた制度です。
 対象期間における総労働時間の限度の合計は、以下の計算式の限度内に収める必要があります。


 算式=40時間×対象期間の日数/7
    例)40時間×365/7=2085.7・・・時間


 この制度を採用する場合は、他の変形労働時間制とは異なる制限がありますので、本日はその内容をご紹介させていただきたいと思います。


1.1日及び1週間の労働時間の限度
・労働時間があまりに偏ると、労働者の健康などに悪影響が及ぼすことが懸念されます。これを防ぐためにも、1日及び1週間の所定労働時間について、以下のとおり限度が設けられています。


  1日:10時間 
 1週間:52時間 
    ※積雪地域の建設業の屋外労働者等・隔日勤務のタクシー運転手を除く


2.週40時間を超える週数の限度
・対象期間が3ヶ月を超える場合には、次の1)及び2)のいずれにも該当する必要があります。


1)対象期間において、その労働時間が48時間を超える週が連続する場合、その週数が3以下であること
2)対象期間をその初日から3ヶ月ごとに区分した各期間(3ヶ月未満の期間を生じたときは当該期間)において、その労働時間が48時間を超える週の初日の数が3以下であること


3.時間外労働の限度基準に対する制限
・通常であれば年間・360時間、1ヶ月・45時間などと認められる延長時間について、1年単位の変形労働時間制を採用する場合は、年間・320時間、1ヶ月・42時間以内とする必要が生じます。


 以上のように、1年単位の変形労働制には制約条件が多いという特徴があります。これらを踏まえ、制度導入を検討する必要があるでしょう。


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