部門ごとに異なる労働時間制度を採用できるか?




 当社は1つの事業場の中に製造部門と営業部門があります。このうち業務の繁閑の差の激しい製造部門について、今年度から変形労働時間制を採用しようと考えております。この際に、同じ事業場であるにも関わらず、製造部門にのみ変形労働時間制を適用させることはできるのでしょうか?それとも、これに併せて営業部門についても、同一の変形労働時間制を適用させなければならないのでしょうか?


 結論を申しあげると、1つの事業場に対して1つの制度でなければならないという制限はありません。


 労働基準法上の一般的な適用範囲として、「事業単位」での適用という原則があります。これは同一の事業であるかは、主として同一の場所で行われているかにより決定するというものです。


 労働時間は、製造業など事業としての法定労働時間が事業場全体に適用されますが、その範囲内である限り、部門ごとに異なる労働時間管理制度を設定することは可能です。よって、この前提の下で労使協定等によって対象者を限定した場合には、製造部門と営業部門のそれぞれに適した変形労働時間制を導入することが可能です。この場合は、それぞれの部門ごとに、就業規則に始業・終業時刻の時刻や、変形労働時間制の種類等を規定し、就業規則の作成・変更手続(届出)を行う必要があります。


 今回は部門ごとの限定でしたが、上記同様、労使協定等への記載内容によっては、各従業員といった個人単位まで、適用対象者を限定することもできます。なお、変形労働時間制における要件、手続きについてはそれぞれ異なるため、要件を満たしているか否かの確認は都度必要となります。 


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