遅れる中退共加入企業における適年廃止問題の対応
先日、中退共より「中小企業退職金共済制度加入企業における退職年金制度等の実態に関する調査結果の概要」という資料が発表されました。これは中退共に加入している共済契約者(事業主)の中から抽出をした10,000社を対象に、郵送による調査を実施したもの。
これを見ると、中退共加入企業で適格退職年金廃止に伴う対応が非常に遅れていることが分かります。ここでは以下の2つのポイントについて、取り上げてみることにしましょう。
適格退職年金の今後の対応(221社)
適格退職年金廃止に伴う対応については、「まだ、対応を決めていない」が41.6%と多く、更には「適格退職年金が廃止されることを知らなかった」という回答も20.4%あり、全体では6割以上の事業所で未対応になっていることが分かります。なお対応を検討している事業所を見ると、他制度への移行が29.0%、制度廃止が7.2%となっています。
適格退職年金の移行先(64社)
次に具体的な移行先ですが、適格退職年金から中退共への引継ぎ制度は、中退共の新規加入に限定されており、今回の調査対象となっている既に中退共に加入している事業所ではこの有力な選択肢を選択することができません。それが故に先ほどのような対応の遅れが発生していると思われますが、この移行先の回答においても「中退共制度に移行できるようになることを希望している」が71.9%と大多数を占めています。この点は中退共自体も国に法改正を働きかけていると聞いており、そのためのデータ収集という側面が強いと思いますが、確かに新規加入の場合しか移行を認めないという取り扱いは、見直しがされるべきではないかと私も考えています。ちなみにそれ以外の移行先としては「確定給付企業年金」が10.9%、「確定拠出年金」が7.8%となっています。
参考リンク
中退共「中小企業退職金共済制度加入企業における退職年金制度等の実態に関する調査結果の概要」
http://chutaikyo.taisyokukin.go.jp/joho/pdf/tyosa_h17.pdf
(大津章敬)
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