適格退職年金は前年比7,700件減少も、資産残高は0.5%増加

 先週、社団法人生命保険協会より「企業年金の受託概況(平成18年3月末現在、速報値)」という資料が発表になりました。これによれば平成18年3月末時点の企業年金の資産残高は、対前年比10兆4,844 億円(13.6%)増の 87兆8,458億円となりました。その内訳は、以下のようになっています。
 厚生年金基金   37兆5,382億円(対前年比 2.4%減)
 適格退職年金   17兆2,718億円(対前年比 0.5%増)
 確定給付企業年金 33兆358億円(対前年比 52.1%増)


 一方、適格退職年金の廃止問題で中も良くされる企業年金の受託件数/加入者数は、厚生年金基金が687基金/加入者数525万人、適格退職年金が45,090件/加入者数567万人、確定給付企業年金が1,432件/加入者数384万人となっています。ちなみに昨年の同調査では適格退職年金は52,761件でしたので、約7,700件が1年間で解約となったことになります。これだけ件数が減少していながら、資産残高は前年比プラス0.5%だった訳ですから、この1年間の好調な運用の実態を感じさせます。


 このように運用が回復している状況ですと、特別勘定中心で契約している適格退職年金の解約のタイミングが非常に難しくなっています。マイナス運用が続いていたような時期であれば「早めに解約」で良かったでしょうが、最近はコンサルティングの現場でも解約の時期について頭を悩ませることが増えています。



参考リンク
社団法人生命保険協会「企業年金の受託概況(平成18年3月末現在)」
http://www.seiho.or.jp/data/news/h18/180525.html
社団法人生命保険協会「企業年金の受託概況(平成17年3月末現在)」
http://www.seiho.or.jp/data/news/h17/170526.html


(大津章敬)


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